トイガーの歴史
トイガーは1993年から繁殖が始まった新しい品種です。
小さなトラをペットにしたいというブリーダーの思いから始まりました。
ベンガルから誕生した子猫に珍しい模様を発見し、開発され改良が進み体格や風貌などもトラにどんどん近づいています。
「Toy(小さい)」と「Tiger(トラ)」の意味を込めてトイガーと名付けられました。
トイガーの品種を創り出すことに成功したブリーダー、ジュディ・サジェンは野生のトラの保存を呼びかけるためにトイガーを新種として確立することを決意します。
2006年にはTICAにおけるチャンピオンシップステータスを獲得し、新種として認定された現在も発展途上にある品種と言えるでしょう。
日本ではまだまだ珍しく、ほとんど見ることのできない希少な猫です。
トイガーの特徴・性格
特徴
容姿
オレンジのベースにはっきりとした縞模様はまさに小さなトラと言えるでしょう。
鼻の幅が広めで、頭部にもトラに似た模様が入っています。
骨格がしっかりとしていて野生的なのも魅力の一つです。
また、トイガーは子猫の期間がとても長く、ゆっくり骨格を作りながら成猫になっていきます。
可愛い期間を長く一緒に過ごせるのも嬉しい特徴です。
体重
成猫の平均体重は3.5kg〜4.5kgですが、トイガー の平均体重はメスが5〜8kg、オスが6〜10kgとやや大きいサイズになっています。
他の種類の猫に比べ、トラのように逞しい体つきというのが体重からも分かりますね。
寿命
猫の平均寿命と同じ、12〜15歳です。
値段
日本でトイガーに出会えることは少なく、希少種の為少し値が張ります。
直近でのトイガーの子猫の価格は約30〜80万とかなり幅広くなっています。
柄の出かたによっても値段が変わってくるようです。
ペットショップではなかなか見かけない為、購入を考えている方はブリーダーの方に直接相談するのが一番良いかと思います。
性格
トイガーは活発でよく動き好奇心旺盛ですが、野生のトラとは違い攻撃性のとっても低い猫です。
とってもフレンドリーで穏やかな性格をしています。
遊ぶことが大好きなので、飼い主や他の動物達とも仲良く遊んで過ごせるそうです。
また、知能も高く賢い猫なのでしつけが楽だったり、簡単なコミュニケーションが出来ます。
猫には珍しく飼い主に忠実な一面もあるようです。
野生のトラの血を引くベンガルの特徴を受け継いでいる為、一般的な猫たちが嫌がる水もトイガーは大好きです。
水遊びやお風呂も嫌がらず飛び込んで行ってくれそうですね!
トイガーの飼い方・しつけ方
飼い方
遊び
トイガーは高い身体能力を持っており、遊ぶ事が大好きな猫です。
大きく走れるような広いスペースや、高低差のある遊び場があると運動不足を防ぐ事が出来ます。
ネズミ捕りなどの激しいハンティングが出来る遊びや、ボールを走って追いかける遊びなどがオススメです。
一人でも遊ぶ事ができる大きめのキャットタワーを置いてあげたり、登り棒や階段でも遊べるようにしてあげましょう。
水に触れるのも好きなので、暑い日にはプールや水鉄砲を使って遊んであげると喜んでくれそうです。
食事
時間をかけて骨格が出来上がっていく為、栄養管理にも気を付けてあげたいです。
高タンパク・高カロリーの食事が必要になってきます。
動物性タンパク質の多いキャットフードを選んだり、おやつで補うなど工夫をしてあげましょう。
必要な栄養素を取り入れるために愛情を掛けて手作りしてあげるのも良いですね。
抜け毛
長毛種の方が短毛種よりも抜け毛が多いのが一般的ですが、トイガーの場合は短毛が密集している為、抜け毛が多いと言われています。
その為、日々のブラッシングや抜け毛ケアが重要です。
毛先が揃っている柔らかい獣毛ブラシを使ってあげると抜け毛ケアや毛並みを美しくするのに適しています。
毛が長い猫だとと奥に残った抜け毛が取りにくいですが、トイガーの毛は短いのでラバーブラシやミトンを使うと、比較的楽にケアすることができます。
しつけ方
猫を飼うにあたって一番気になるのがトイレのしつけですよね。
特に猫のおしっこの匂いはキツいので、早くトイレを覚えて欲しいです。
猫がそわそわしていたらトイレに連れていって上げたり、上手に出来たら褒めてあげるようにしましょう。
また、ブリーダーさんやペットショップで猫を購入した時に、既におしっこの匂いがついている砂などを少量もらっておき、自宅のトイレの中に入れて上げましょう。
猫は自分の匂いがする場所でトイレをしてくれるので、楽にトイレの場所を覚えてくれることが多いです。
トイガーは知能がとても高いので、トイレの場所もすぐに覚えてくれるでしょう。
とても好奇心が強く、身体能力の高いトイガーは高いところに乗ったり気になった場所や物を触りにいくことが多いと思います。
イタズラされた時には「〜だから〜だよ」と長くいうのではなく、短く「ダメ」や「NO」と言って伝えましょう。
叱ることも必要ですが、高い場所には物を置かないようにしたり、転倒防止シートを使ったりとイタズラ防止策を考えてあげるのも有効です。
イタズラされるのも叱られるのもストレスがたまります。
飼い主も猫もストレス無く、楽しく過ごせるような環境づくりをして行きましょう。
トイガーのかかりやすい病気
トイガーは新しい品種の猫なので他と比べてまだ分かっていないことも多いです。
ですが、もともとベンガルを交配させている為、遺伝的な病気を受け継いでいる可能性があります。
病気の原因や症状を知っておくことで、未然に防げたり早期発見にもつながるのでトイガーを飼う場合にはしっかりと調べておきましょう。
トイガーのかかりやすい病気には
- 心筋症
- コロナウイルス
- 猫伝染性腹膜炎
- 下部尿路症候群
- が挙げられます。
- それぞれの病気について見ていきましょう。
心筋症
心臓の筋肉に異常が起こり、働きが低下していく病気です。
原因不明で急激に悪化していく為、早期治療が重要になってきます。
症状は食欲がなくなる、元気がなくなり動かなくなる、咳が出たり呼吸困難になる(肺に水が溜まった場合)が見られます。
また突然の痛みとともに後ろ足の麻痺が起こることもあり、放っておくと爪が壊死したり足先が冷たくなります。
心筋症は3種類に分けられ、心臓の筋肉が分厚くなっていく肥大型が最も多く、薄くなる拡張型や固くなる拘束型があります。
拡張型はタウリンの欠乏が原因の一つだとも言われ、今ではキャットフードでも補助できるようになり少なくなってきているそうです。
現時点で心筋症の予防法は見つかっておらず、心雑音や症状が見られる場合は、すぐに心臓の精密検査を行いましょう。
治療は対処療法になり、心筋症に伴って起こる症状の緩和を飲み薬で行います。
普段から猫の様子をよく観察して、少しでも不安がある場合はすぐにかかりつけの獣医さんに診てもらいましょう。
また定期検診で猫の健康を管理しておくのも必要です。
コロナウイルス
感染している猫の糞便や猫同士の舐め合いなどで感染拡大していくウイルスです。
集団の中に感染している猫が1匹いればその集団は全て感染していると言えるでしょう。
腸に感染し、下痢を引き起こします。
ウイルス自体は住居環境の消毒を徹底したり、新しい猫を引き入れる時に注意すれば防ぐこともできます。
コロナウイルスの中には2種類あり、一つは発症するととても恐ろしい病気になってしまいます。
現在では2つを正確に区別する方法がありません。
また、コロナウイルスにかかったからといって全ての猫が恐ろしい病気になるとは限らないのです。
では、その恐ろしい病気とは一体どのようなものなのか次の項目で見てみましょう。
伝染伝腹膜炎
猫の体内にあるコロナウイルスがある日突然変異してFIPウイルスになります。
ただ、上記した通りコロナウイルスにかかっている猫が全てFIPウイルスに変異するわけではありません。
猫の免疫力を低下する要因や、ストレスなどが原因で発症するのではないかと言われています。
FIPは発症すると、腹膜(胃や肝臓など臓器の表面とそれらの臓器がおさまっている腹腔を包んでいる膜)に炎症を起こす病気です。
症状は様々で、元気や食欲がなくなる、発熱、嘔吐、下痢、黄疸、腹部腫脹、ブドウ膜炎(眼)など、一見するとどの病気にかかっているか判断がつきにくいものが多いです。
検査方法は申告された症状と血液検査、レントゲンやエコーなどの画像検査からFIPを疑いますが、FIPだと確定するには更に詳しくみていく必要があります。
腹水などの抗原検査、抗体検査などを経てそれでもなかなかはっきりとした結果が出ないのがFIPの特徴だそうです。
治療としては抗生剤で二次感染を防ぐ、抗炎症作用のあるステロイド、インターフェロンで免疫力を上げていくなど、症状に合わせた治療方法を取っていきます。
残念なことに完治することは難しく、現時点ではほぼありません。
感染の恐れがある猫にはストレスを与えない、他の猫との接触は避けることが大事になってくるようですね。
下部症候群
猫の尿の中に結晶が作られることで起こる尿路や膀胱の疾患のことを言います。
症状は、頻尿、血尿、排尿時の痛みで大きな鳴き声が出る、下腹部を舐める、落ち着きがない、トイレ以外の場所で排尿する、などが見られます。
この病気はメスに比べてオスの方が多く見られ、またオスの方が重症になる可能性があります。
重症になると急性寺院不全や尿毒症を発症し、深刻な状態に陥ることがあるので、少しでも症状が見られた場合は一刻も早く動物病院に連れて行きましょう。
猫の飲水量や食事、ストレスや肥満が原因ではないかと言われています。
冬になると水を飲む量が少なくなるので、尿が濃くなり結晶が作られやすくなり、病気の発生が増えると言われています。
飲み水の減り具合をよく見て、必要があれば飲ませてあげるようにしましょう。
治療としては、尿道に詰まっている結晶や結石をカテーテルで取り除いたり、超音波で粉砕して除去を行います。
外科的な手術によることが多いので、入院して治療する場合が多いです。
再発することが多い病気なので、治療後も十分気を付ける必要があります。
予防としてはトイレを清潔に保つ、尿の量や色を確かめる、いつでも水を飲める環境にする、遊ぶ時間を増やしストレスを溜めないようにすることが大切です。
想像以上に怖い病気にもかかる恐れのあるトイガー、飼う際には注意して様子を見てあげる必要があります。
トイガーまとめ
今回は小さなトラ、トイガーを紹介しましたがその魅力は伝わったでしょうか?
珍しい品種の為、出会うことが難しいですが、一度交流すると手放せなくなりそうです。
飼うとなると遊べるスペースを準備したり、健康管理も十分気を付ける必要があったりと、少し難しいところもあります。
しっかり構ってあげる時間が取れたり家族が多い方、または猫の多頭飼いに慣れている方にお勧めできる猫だと言えるでしょう。
信頼関係を築きやすい猫なので、頼れるパートナーにもなってくれるはずです!
飼う際にはしっかりと環境を整えてから迎え入れてあげてくださいね。
きっと楽しい毎日を送れることでしょう!