トイボブの歴史
トイボブはロシアで産まれたとても小さなボブテイルです。
歴史自体はとても新しく、1980年代前半ロストフ州でメコンボブテイルのブリーダーが2匹の野良猫を家に連れて帰ったことが始まりでした。
野良猫にはシャム猫の特徴のシールポイントがあり、短い尻尾がありました。
2匹を元に繁殖が重ねられ、小さな猫が産まれました。その猫は「Kutciy」と名付けられ、トイボブの基礎になったのです。
さらに繁殖が重ねられていき、1988年にはKutciyよりもっともっと小さくて尻尾の短い猫が産まれました。
1990年代にはロシアのウラル地方で、更なる繁殖・改良が施されていきます。
ロシアの国内猫とトイボブの遺伝子を組み合わせることで繁殖を拡げることに成功しました。
また、血統の濃い猫たちから、品種の起源になった元の猫の血統を復元することにも成功しています。
ウラル地方近くの地域には、トイボブに似た特徴を持つ地域猫たちが見つかっていました。
体が小さく、尻尾は短いかボブテイルで、シールポイント以外の色や模様も見られました。
また、厳しい環境の中を生きている為、屈強で筋肉質な体つきを持っていたのです。
そんな国内猫との交配が進み、小さな体で安定した健康状態を維持することができる非常に素晴らしい猫が誕生したのです。
2000年初期、トイボブの交配を進めていたブリーダーは、猫の展示会でトイボブとシャム猫の違いを遺伝子の突然変異の観点から実証しました。
トイボブの交配プログラムにはシールポイントだけではなく、地域猫の色、模様、被毛の長さが入っており、これらによってより一層トイボブの血統が確立されることになったのです。
2004年には、LITTLE ANGEL CATTERYからアメリカのブリーダーに渡り、トイボブの名を世界的に広めることになりました。
2015年、ロシアMFAでトイボブのチャンピオンが産まれました。
そしてついに、日本国内でトイボブの本格的な繁殖が始まったのです。
2017年には、猫の世界的な血統登録団体であるTICAでレジストレーションオンリーの猫種として登録出来るようになりました。
ちなみに血統書とは「猫の戸籍謄本」のようなもので、産まれたときにブリーダーさんが猫の出生を正式な登録団体に登録した証となります。
血統書には繁殖者や生年月日、猫の種類や譲渡年月日などとかなり詳しく書かれています。
キャットショーに出場したり、繁殖するにはこの血統書が必要です。
まだまだ珍しいトイボブですが、今ではロシア、フランス、ブルガリア、アメリカ、日本など多くの国で育種プログラムが設けられ、繁殖・拡大に向かっている最中です。
近い未来、ペットショップで見かけられるようになるかもしれませんね。
トイボブの特徴
トイボブの見た目はシッポの短いシャム猫です。
ベースの色が淡く、顔や耳・手足の先が濃い色のシールポイントになっています。
子猫サイズの小さな体に、3〜8㎝の尻尾が特徴的です。
直毛の被毛は短いか中程度の長さで、個体差があります。
毛の色も、白以外のポイントカラーが認められており、指先の白い模様も許容されます。
目も鮮やかなブルーが輝いておりとても綺麗ですね。
小さな体のトイボブですが、頑丈な子には広めの肩幅に厚めの胸板と、しっかりした体型をしています。
猫のボディタイプとしては「コピー(筋肉質で手足は短く太く顔が丸っこいタイプ)」か「セミコピー(手足や胴体が長めでしっかりとしたアゴを持っている、コピーよりは小さいタイプ)」に分類されます。
見た目が良く似ているシャムは「オリエンタル(アゴが小さく手足や胴体がスラッと長めでスリムなタイプ)」なので、実は真逆な体型をしています。
トイボブはオスとメスでも特徴が少し違います。
オスはメスに比べてより頑丈で筋肉質な体型をしています。
縄張り意識も強く、激しい遊びが大好きです。
メスはオスよりも警戒心が強く、落ち着いています。
トイボブを飼うときには上記のことも参考にして、オスかメスか考えた方が良さそうですね。
トイボブの性格
トイボブの性格は「犬っぽい」と良く言われます。
人懐っこく愛情表現をしてくれ、スキンシップが大好きです。
従順な面もあり、飼い主の後をついて回る子も多いようです。飼い主が帰ってくると走ってお迎えに行き、撫でてくれるまで離れない子もいるとか。
更にはリードを付けて散歩に行くのを楽しみしている子もいるらしく、その姿はまるで本当の犬のように見えますね。
一般的な猫に比べて警戒心が薄く、驚いたり物怖じしない珍しい性格をしています。
好奇心が強くフレンドリーな為、人間や他の動物とも仲良く遊ぶことができます。
また、お茶目な性格でもあり、イタズラをしたり人間の肩の上によじ登って遊ぶのも大好きです。
甘えん坊な猫なので飼い主と同じベットで寝る子も多いです。
とっても活発で激しく遊ぶのが大好きな猫でもあります。
人懐っこくて甘えん坊な為か、飼い主の姿が見えなくなると不安に感じることも。
長い時間家を開ける人には飼うのが難しいかもしれませんね。
トイボブの寿命
トイボブの平均寿命は16〜22歳だと言われています。
猫の平均寿命が約15歳なので長生きしてくれるようで嬉しいですね。
トイボブの体重
トイボブは成長しても子猫サイズのままで、平均体重はメスが1.7kg、オスが2kgとかなり小さいです。
世界最小の猫だったシンガプーラが約3.5kgなので、トイボブは世界最小サイズを更新しました。
こんなに小さいとお世話や移動も楽にできそうですね!
トイボブの値段
トイボブは世界的に珍しい品種でブリーダーでの購入が主になっています。
テレビ等で魅力が広まったおかげが、日本でも少しづつ見られるようになって来ました。
トイボブ専門のブリーダーショップも増えて来ています。
平均的な値段はデータがありませんが、販売価格は30万円から100万円とかなり幅広くなっています。
ペットショップやブリーダーショップで直接相談して迎え入れるのが良いかと思います。
こちらのペットショップではロシアから来たトイボブを取り扱っているようです。
タイミングによっては予約になるかもしれませんが、購入をお考えの方は一度相談して見てはいかがでしょうか。
ペットハウス ボブテイルショウHP:http://bobshu.co.jp/brand/
トイボブの飼い方
環境
トイボブはどんな環境でもすぐに慣れてくれます。
元気いっぱいに遊ぶ為、遊べる広い場所を用意してあげると良いでしょう。
壊れやすい物はなるべく置かないようにして、イタズラや怪我の防止を工夫してあげるのも重要です。
多頭飼いにも向いているので、迎え入れる際は手順を踏んで猫たちが仲良く暮らせるようにしてあげましょう。
新入りの猫は大きめのゲージの中から先住猫と触れ合い、慣れていく必要があります。
多頭飼いをする場合はブリーダーの方に詳しく相談しながら進めていくのが良いと思います。
鳴き声は小さく、静かな猫種なので、マンションや住宅街でも気にせず飼えます。
マンション等の集合住宅で動物を飼う際は「ペット可」か必ず確認してから飼うようにしましょう。
お手入れ
トイボブは短毛なので、普段のお手入れは軽いブラッシングで十分です。
抜け毛の季節には両手を濡らしてマッサージするように優しく撫でてあげると、毛の散らかりを防ぐ事ができます。
スキンシップ
トイボブはかなりの甘えん坊で寂しがりやです。
飼い主と一緒に行動したがるので、長い時間のお留守番は禁物です。
ストレスが溜まる原因になるので一人にしないようにしてあげましょう。
家族が多い人や、遠出しない方が飼うのに向いています。
出かけて帰ってきた場合は沢山のスキンシップを取ってあげたり、気が済むまで遊んであげたりして緩和してあげてください。
多頭飼いで寂しい気持ちを紛らわせてあげることも一つの方法です。
かかりやすい病気
先天的な疾患や遺伝からくる病気については現在報告されていません。
また、驚くほど強い免疫力を持っている素晴らしい猫種です。
ストレスからくる病気
健康な体を持ってはいますが、それでも気を付けたいのはストレスです。
特に甘えたがりの寂しがりやなので、一人の時間が増えたり飼い主が構ってくれないとストレスの原因になります。
ストレスからくる病気は小さな病気にも大きな病気にもなり得るので、十分気を付けてあげましょう。
強いストレスが原因でかかりやすい病気には、
- 心因性脱毛
- 自傷行為
- 突発性膀胱炎
などがあります。
心因性脱毛
猫は不安を感じると、落ち着くために手足を舐めます。
転移行動と言い、直前と違う行動をすることで恐怖や不安から逃げる為に行われる行動です。
自傷行為
強いストレスから、自身の尻尾などを血が出るまで激しく噛んでしまう事があります。
繰り返してしまうこともあるので、早くストレスの原因を取り除いてあげましょう。
突発性膀胱炎
細菌感染や結石がないのに頻尿になったり、血尿が出るようになります。
発症にはストレスが関与していると考えられています。
血尿が出る場合は他にも病気の可能性があるので、症状をよく観察して動物病院で相談しましょう。
ストレスサイン
猫は飼い主にSOSを出してくれます。
しっかりキャッチして、原因を取り除いてあげましょう。
猫からのサインには異常に攻撃的なる、抜け毛、手足が禿げるほど舐め続けるなどのわかりやすいものや
食欲不振や嘔吐など、病気と区別がつきにくい事があります。
どちらの場合も放って置かず、まずは病院に連れて行ってあげましょう。
健康な猫といっても大きな病気にかかる可能性はあります。
普段からしっかりと様子を見てあげて、いつもと違う点があれば動物病院で診てもらいましょう。
長く一緒に過ごせるように定期的な検診を受けることも重要です。
家族を迎え入れる時に、ペット保険に入ると更に安心ですね!
ペット保険はインターネットや動物病院で案内しているところもあるので、検討してみてはいかがでしょうか?
トイボブのまとめ
今回はロシアの小さなシャム猫、トイボブを紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
特徴や産まれた歴史を見ていくと、シャム猫とはまた違う魅力が見えてきましたね。
可愛さと高貴さが入り混じった不思議な猫で、値段が張るのも頷けます。
小さい体で大人しそうな見た目のイメージとは違い、活発で遊びが大好きなのも可愛いポイントです!
実際に飼って、飼い主の後を追う姿やリードを付けて散歩する姿を見すると、愛おしさが一層増していきそうです。
遺伝からくる病気も見られず、長く健康でいてくれそうなところもとても良いですね。
動物を飼う時に気になるのは健康面や寿命だと思います。
猫は特に病気にかかってしまう種類も多く、心配事が多いものです。
この小ささで頑丈な体をもつトイボブは、本当に素晴らしい肉体の持ち主だと言えます。
沢山遊び、長く一緒に過ごしたい方にはとてもオススメの猫です。
お茶目なトイボブと、楽しい毎日を送ってみるのはいかがでしょうか♪
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