サイベリアンの特徴・性格・寿命・体重・値段・飼い方

サイベリアンの歴史

サイベリアンはロシアに住み着いていた猫とされていますが、その起源はたしかになっていません。

近年の遺伝子解析による研究では、ウラル山脈をはさんで存在したペルシャやアンゴラと同じ祖先を持っており、紀元1000年頃には存在したと推測されています。

サイベリアンは、1871年にイギリスで行われたキャットショーでデビューをし、人気を得ました。

古くから存在していた猫種と考えられていますが、ロシアでは20世紀に入るまで、純血種の繁殖は注目されていなかったため、半野生で勝手に交配をしていました。

当時のロシアは他国との交流や交易が制限されていたので、サイベリアンは入手するのがとても難しい猫でもありました。

国外に輸出されるようになったのは、100年後の1987年以降とされており、サンクトペテルブルグのキャットクラブから輸出されたと記録されています。

当初はポーランドやドイツなど、政治的に近い国やスカンジナビア3国のように地理的に近い国に限定されていました。

 

ロシアとの冷戦時代であったアメリカに送られたのは、1990年になってからの事です。

文化交流プログラムの一環として数頭がアメリカの繁殖家に贈られ、1992年にTICAが新猫種の予備登録を行い、1996年には正式に猫種として登録されました。

また、サイベリアンがイギリスに渡ったのは、2002年以降で最近の出来事です。

その後は世界各国に輸出されるようになりましたが、ロシアを代表する猫として現在も国際交流のシンボルとされています。

 

サイベリアンの特徴

サイベリアンは頭部が大きく、広く丸い額に卵形の頬、アーモンド形の目、長くまっすぐなしっぽが特徴的です。

長毛でサイズが大きく、ノルウェージャンフォレストキャットやメインクーンとも、比較的近い血縁であると考えられています。

メインクーンよりはやや小さく、ノルウェージャンフォレストキャットとは頭部の形が違うのが、サイベリアンです。

この2種との決定的な違いは、サイベリアンの方がより丸い形で「ビヤ樽形」とも呼ばれる体型をしていることです。

また、そしてダブルコートの個体と共にトリプルコートという、極めて珍しい被毛の個体が多く存在することも大きな違いとなっています。

オーバーコートは寒さと水分および乾燥から守るために多めの皮脂で覆われている事から、ほかの2種よりも硬い手触りをしています。

サイベリアンの性格

サイベリアンは、温厚で忍耐強く、いろんなものに興味を示す好奇心旺盛な性格をしています。

とても遊び好きで活発的であり、飼い主だけでなく、見知らぬ人にもなついてくれる子が多いので飼育しやすい猫種とも言えるでしょう。

また、賢いので犬のような性格としても有名です。

ネズミなどの小動物を捕まえる能力が高く、様々な声色で鳴くので多様なコミュニケーションがとれます。

犬のように投げたボールを取ってきたり、飼い主が帰ってきたら玄関まで迎えに出てきてくれたりと忠実です。

中には「おすわり」や「お手」など、犬に引けを取らない賢さをもつ子もいて、海外では「犬派のための猫」と呼ばれる事もあります。

家族に対しては愛情深いものの、テリトリー意識が強い傾向にあります。

その為、仲間と認めない相手に対しては冷淡な態度を取ります。

猫としては珍しく、水を怖がらない性質のため魚を捕るために水に飛び込むことさえあるようです。

サイベリアンの寿命

サイベリアンの平均的な寿命は、10~15歳と言われています。

一般的な猫の平均寿命が15歳前後と言われているので、やや短い印象にあります。

食事や生活環境に気を配りお世話をしてあげれば、長生きしてくれるでしょう。

サイベリアンの体重

サイベリアンの平均体重は、オスで7.5~12kg、メスで6.5~10kgほどです。

骨量多くしっかりとした骨格、たくましい筋肉を適度な脂肪が覆っている、ロング&サブスタンシャルタイプで、中〜大型猫に分類されます。

体の大きさからは想像できないほど身のこなしが軽く、運動能力の高い猫です。

サイベリアンの値段

サイベリアンの値段相場は、ペットショップで購入する場合、おおよそ15万~25万前後です。

毛色が黒に近いほど値段が上がる傾向にあり、理想的な品種で購入するなら、30万~50万前後になるでしょう。

サイベリアンの飼い方

サイベリアンはとても活発な猫で、極寒の荒れ地に暮らすこともあった彼らは、大きな体にしっかりした足腰を持っているため、跳躍力がきわめて高いです。

高い所にも喜んで駆け上るので、キャットタワーは体重に耐えるようにしっかりと安定したものを用意してあげましょう。

ロシアではサーカスに使われていたことがあるほど賢いので、しつけは簡単です。

水を恐れない性質をもっているので、危険防止のために風呂や洗濯機のふたはしっかりと閉めておく習慣をつけましょう。

サイベリアンは、ほかの猫に比べて猫アレルギーを起こしにくい猫として知られていますが、科学的な根拠は十分ではありません。

なので、アレルギーのある方は、ほかの猫種と同様に家族としてお迎えする前に慎重に検討しましょう。

 

サイベリアンのかかりやすい病気

サイベリアンは力強くパワフルな猫で、比較的丈夫な猫種として知られています。

成長スピードが遅い分、成猫になると大きくしっかりとした体つきになるでしょう。

 

しかし、他の猫同様に、高齢になると心臓病や腎臓病などの病気のリスクが高まるので、事前に知っておき予防する事が大切です。

ここからは、サイベリアンのかかりやすい病気について解説していきます。

 

  1. ピルビン酸キナーゼ欠損症
  2. 尿石症
  3. 肥大型心筋症
  4. 慢性腎臓病

 

ピルビン酸キナーゼ欠損症

サイベリアンのかかりやすい病気の1つ目は「ピルピン酸キナーゼ欠損症」です。

ピルピン酸キナーゼ欠損症は、赤血球にエネルギーを供給するのに必要なピルビン酸キナーゼという酵素が不足し、赤血球が壊れることで貧血が起こる遺伝性の病気です。

 

猫の場合、生後2~3カ月齢以降に慢性的な貧血が起こりますが、貧血自体に慣れてしまうため、症状が分かりにくいです。

貧血になると舌の色や粘膜が白っぽくなったり、食欲低下、疲れやすい、呼吸や脈が速い、赤茶色の尿をするなどの症状が現れます。

 

予防法は遺伝性の疾患であるためなく、遺伝子検査によって発症する可能性が高いかどうかを調べる他ありません。

もし遺伝子検査で異常が見つかった場合は、繁殖させない事で今後の発生率を下げることができます。

治療法も決定的な方法がないので、症状が見られない場合は経過観察となります。

症状が軽度の場合は、酸素化や輸血などの対処療法が行われる可能性があります。

重度の貧血の場合は、手術で弱った赤血球の破壊を行っている臓器を摘出し、赤血球の減少をおさえて貧血の改善を促す方法が行われます。

 

尿石症

サイベリアンのかかりやすい病気の2つ目は「尿石症」です。

尿石症はおしっこが作られて体外に排泄されるまでの尿路に石ができてしまう病気で、血尿や頻尿、排尿困難などの症状を引き起こします。

また、尿管や尿道に大きな結石が詰まりおしっこを全く出せなくなると、毒素を体外に出せず尿毒症を発症し、命に関わる危険性も出てきます。

 

結石が出来てしまう原因としては、食事のアンバランスや、飲水量、ストレス、細菌感染、体質などさまざまです。

一般的な症状としては、少量の尿をあちこちでしたり、元気や食欲の低下、排尿痛で性器をしきりに気にして舐めるなどが見られます。

予防法としては十分な水分を取る事やストレスを減らす事などが挙げられます。

 

治療法は、外科治療として尿道閉塞の解除や結石摘出が行われたり、内科治療として食事療法や投薬が検討されます。

外科治療は、内科治療を行っても反応がない場合や、緊急性を伴った症状の場合に行われます。

 

肥大型心筋症

サイベリアンのかかりやすい病気の3つ目は「肥大型心筋症」です。

心筋症は心臓の筋肉に異常が起こることで心臓の働きが低下する病気で、猫の心臓の病気の中で最も多いと言われています。

肥大型心筋症は心筋症の中で最も多く、左心室の心筋の肥大が特徴的です。

 

初期の症状としてはあまり見られず、心臓の雑音がわずかに聞こえる程度でしょう。

重症化してしまうと元気や食欲がなくなり、咳や苦しそうに口を開けて呼吸する、呼吸が速くなる、呼吸困難や舌が青紫色になる、血栓症を起こす、後ろ足が麻痺するなどの症状が現れます。

予防法は現在はないので、何か異常を感じたり心雑音が聞こえた場合は、すぐに動物病院へ連れていきましょう。

 

治療法としては、心筋症に伴って起こる症状の緩和を飲み薬で行うなどして血液を送りやすくします。

また、肺の高血圧をおさえる心臓薬や抗不整脈薬、うっ血性心不全や肺水腫に対して利尿剤、血栓症の予防に抗血栓薬なども検討されます。

もし血栓症がすでに起きている場合は、血栓溶解剤の投与が行われるでしょう。

 

慢性腎臓病

サイベリアンのかかりやすい病気の4つ目は「慢性腎臓病」です。

慢性腎臓病は、数ヵ月〜数年かけて腎臓の機能が壊れていき、さまざまな腎臓病の症状が出てくる病気で、腎臓内のネフロンが少しずつ壊れていく事で発病します。

放置すると重度な腎機能不全や尿毒症を起こし、命に関わる状態になる可能性もあるので、十分に注意が必要です。

初期症状としては、多飲多尿やトイレの時間が長い、水を長い時間舐めているなどが見られます。

また、尿毒症を発症すると、口臭が臭い、元気がなくなる、体重が減る、脱水、便秘、嘔吐などが現れます。

 

治療法としては、緩和ケアや進行を遅らせるための投薬が行われます。

また、メインの治療は対処療法となり、タンパク質やリンを制限した療法食や点滴を行って脱水改善や尿毒症の緩和を促します。

リンを吸着させる薬の内服などを行う場合もあり、進行を遅らせる治療としては、テルミサルタン製剤やベラプロストナトリウム製剤を使用します。

 

なによりも重症化する前に早期発見し、早期治療する事が大切です。