シャムの特徴・性格・寿命・体重・値段・飼い方

シャムの歴史

シャムの歴史を辿ると、1300年代のタイ王国に遡ります。

「シャム」というのはもともとタイ王国の呼び名で、詳細な原産地は不明です。

シャムは「高貴な猫」と言われており、タイ王国の中でも由緒ある血筋を持つ家系でのみ飼うことを許されていました。

シャムという名前を品種名にしているのは日本だけで、海外では「Siamese(サイアミーズ)」と呼ばれています。

日本には明治の中ごろに初めて輸入されて、現在は100年にもなります。

タイから西欧にシャムが紹介されたのは、日本に入るよりさらに30年ほど早い時期です。

記録上では1878年と言われており、タイの首都バンコクに赴任していたアメリカ領事から、当時のアメリカ大統領ヘイズに贈られた猫が最初です。

1884年には、バンコクに赴任していたイギリスの役人が帰国する際に入手し、翌1885年には本国イギリスに陳列されました。

シャムは愛猫家の間で大きな人気を獲得し、イギリスでは繁殖も始まり、海外へと輸出されるようになりました。

そして、2009年にTICAに登録されました。

シャムの特徴

シャムは、洗練された美しい容姿にくさび型の頭に大きな耳と、手足やしっぽが細長いのが特徴です。

純血のシャムの特徴としては、毛色とサファイヤブルーの目がポイントとなります。

また、シャムは鳴き声が大きく、よく喋る事でも知られています。

シャム猫の毛色としては、ブラック、チョコレート、ブルー、ライラックが公認の色となっています。

シャムの性格

シャムは、よく人になつく犬っぽい猫と言われています。

しかしその反面、猫らしい気位の高さや自己中心的な部分もあります。

その性格はまさに、二面性の強い猫らしい猫と言えるでしょう。

感受性が豊かで繊細な気質なところが、良くも悪くも行動に影響しているようです。

最初は警戒心を持っていますが、慣れると甘えんぼうになる可愛い性格をしています。

クールな性格で一人遊びをよくするイメージを持たれがちですが、むしろ飼い主さんや優しくしてくれる人が大好きなので一緒に遊ぶことを好みます。

活動的でいたずら好きな面もあるので、部屋に倒れて危ないものや壊れそうなものは置かないように気をつけましょう。

モダンスタイルと呼ばれている、選択交配で性格も改良されているシャムの方が性格的は落ち着いていると言われています。

しかし、トラッドスタイルともあまり変わりなく、個体差が大きいのが実際のところです。

 

シャムの寿命

シャムの平均寿命は、10〜13年と言われています。

一般的な猫の平均寿命は15年ほどなので、やや短いと言えるでしょう。

長生きさせてあげる為には、日々の運動や健康管理をしっかり行う事が大切です。

また、病気にかかっていないか定期的な検査にも連れて行きましょう。

シャムの体重

シャムの体重はオスで3~4キロ、メスで2~4キロほどが平均です。

体型は中型のオリエンタルタイプに分類されています。

抱えてみるとずっしりと重いのは、筋肉質である為です。

シャムの値段

シャムの値段は平均で約17万円ほどです。

値段は一般的に、猫種スタンダードに近いかどうか、血統、顔、毛色、体の大きさ、月齢などの要因で変わってきます。

シャムの飼い方

シャムはとても活発な猫なので、成猫から中年齢くらいまでは元気に遊びまわります。

また、高いところに登ったり、ハンティングをするのも大好きです。

のぼれる高い所がないと、カーテンに爪をかけて駆けのぼってしまったりするようです。

カーテンレールの上で部屋を見下ろして休んだり、降りられなくなって騒いだりするという事例もたくさんあるようなので、キャットタワーは必須でしょう。

また、ストレスが溜まってしまわないように、よく遊んであげることが大切です。

賢くしつけやすい面があり、犬のような性格をしているとも言われています。

犬のようにリードをつけて散歩をしたり、ボールを投げると取って来る、名前を呼べばやってくるという面はあるようです。

しかし、気まぐれな性格でもあるので、気分が乗らなければ言うことを聞かない場合があります。

その時は、繊細さからのわがままなので、根気を持ってしつけをし、暴力的にならないように注意してください。

機嫌を取りすぎてしまってもなめられてしまうので、素っ気なく対応してシャムの方から寄ってきたら構ってあげるようにしましょう。

このように、シャムと上手に付き合う事で、家庭生活にも慣れてくれるでしょう。

さびしがりやな面もあるので、ほかのペットや猫とも基本的に仲良くしてくれますが、嫉妬深い猫でもあります。

常に自分が一番でないと嫌がる場合があるので、注意してあげましょう。

シャムの毛の手入れに関しては、短毛なので楽です。

しかし、日本の気候では秋冬に寒がることがあるので、室温には気を使ってあげましょう。

シャムのオスが発情期時は特に大きな声で鳴くので、うるさい場合があります。

その場合は、早めに去勢を検討するのが良いでしょう。

 

 

シャムのかかりやすい病気

シャムは病気にかかりやすい猫種で、特に目と腎臓の病気にかかりやすいので注意が必要です。

また、遺伝性の病気もあるので、飼う前に知っておくことが大切です。

 

シャムのかかりやすい病気は主に、

  1. 眼球振盪
  2. 角膜黒色壊死症
  3. 進行性網膜萎縮症、進行性網膜変性症
  4. 慢性腎不全
  5. 先天性難聴

の5つです。

それぞれの症状や治療法について解説していきます。

 

眼球振盪

シャムのかかりやすい病気の1つ目は「眼球振盪」です。

眼球振盪は、自分の意志とは関係なく眼球が左右に動く病気です。

 

美しいサファイアブルーの眼を持つシャム猫ですが、眼球振盪にかかってしまう原因としては遺伝的な要素が強いと言われています。

もし心配な場合は、動物病院へ連れて行ってあげましょう。

 

角膜黒色壊死症

シャムのかかりやすい病気の2つ目は「角膜黒色壊死症」です。

角膜黒色壊死症は、人でいう黒眼の部分をおおっている角膜に黒い沈着がみられる病気で、猫特有の眼の病気です。

その黒い斑点は角膜が壊死したもので、その黒い部分が厚くなっていくと角膜に大きな潰瘍ができたり、角膜すべての層が欠損し、眼球に穴が開く角膜穿孔という状態になる可能性があります。

なので、早期発見が大切と言えます。

 

症状としては、角膜に黒い点が見られるのが特徴ですが、琥珀色に見られる事もあります。

また、斑状の黒い沈着の周囲に琥珀色が薄く広がっていり、角膜の外側から内部に向かって血管が入っているなどの場合もあります。

また、痛みを伴うので、目を細めたり涙が出る、目頭から膜が出る、瞼が痙攣する、結膜が腫れるなどの症状が見られます。

 

発症の原因ははっきり分かっていませんが、

  • 慢性的な角膜への刺激
  • 猫ヘルペスウイルス感染
  • 外傷
  • 眼瞼内反症
  • 涙膜異常
  • 乾性角結膜炎(KCS)
  • 角膜の変性
  • 遺伝的素因

などとの関連が考えられています。

 

治療方法は病気の経過によりますが、軽度であれば抗生物質の点眼など内科的治療が行われます。

もし悪化したり良くなったり良化が見られない場合は、角膜の病変の切除など、外科的治療を行われます。

しかし、角膜黒色壊死症はしばしば再発する病気でもあるので、治療後も注意が必要です。

 

進行性網膜萎縮症、進行性網膜変性症

シャムのかかりやすい病気の3つ目は「進行性網膜萎縮症」、「進行性網膜変性症」です。

目の奥にある網膜という部分が徐々に悪くって少しずつ目が見えなくなっていき、いずれ失明してしまう、遺伝性の病気です。

発症は4~5歳頃で、夜間の視力が低下していきます。

 

症状としては、分かりやすいのが目の瞳孔の大きさで、進行性網膜萎縮症の場合は、明るい場所でも瞳孔が開いている様子が見られます。

また、そのほかにも暗い場所で見えずらそうにしていたり、歩き方がふらふらしていて壁にぶつかりそう、小さなことにも驚くなどが見られます。

 

初期症状が分かりづらいので飼い主さんも気づかない場合が多く、気づいた頃には視力がかなり低下している事も多いです。

なので、早期発見するためにもどんな小さな動作も異変を感じたら動物病院に連れて行ってあげる事が大切です。

 

また、診断は動物病院の遺伝子検査で可能ですが、有効な治療法がまだありません。

なので発症した猫は、繁殖させないという事が重要です。

 

慢性腎不全

シャムのかかりやすい病気の4つ目は「慢性腎不全」です。

慢性腎不全は、腎臓の機能が長い年月をかけて徐々に低下していく病気で、「脱水症」や「尿毒症」を引き起こします。

高齢猫の死因としても多く、シャムの場合は特に他の猫種の2倍かかりやすいと言われています。

 

症状が分かりづらいので、気づいた時には病気がかなり進行している場合が多いです。

初期症状としては、多飲や多尿が見られるため、尿の色が薄くなったり匂いがなくなったりします。

食欲もあり元気なので見逃しやすいですが、症状が進むと尿毒症になったり、食欲低下や嘔吐などが起こり最終的に腎機能が機能しなくなって死に至ります。

 

また、腎臓は一度悪くなると元に戻すことができないので、治療法としては腎機能を長持ちさせるために、食事療法や投薬などの対処療法が行われます。

 

先天性難聴

シャムのかかりやすい病気の5つ目は「先天性難聴」です。

目が青い猫や白い毛をもつ猫は先天性難聴になる可能性が2倍も高いので、シャムは生まれつき難聴になる可能性の高い猫種と言えます。

 

症状としては名前を呼んでも反応が無かったり、大きな物音がしても動じないなどの様子が見られるので、この場合は難聴を疑った方が良いでしょう。

もし、耳が聞こえなくなっても、猫は聴覚や嗅覚で補えるため、人間ほど室内での生活に影響が出る事はありません。

ですが、安全性を考えると外出は控えるべきでしょう。

 

このようにシャムは遺伝的に病気にかかりやすい猫種なので、日頃から小さな異変に気付いてあげる事が大切です。

早期発見をすることで、様々な病気のリスクを減らし長生きできるでしょう。