ロシアンブルーの歴史
ロシアンブルーは、ロシアに住み着いていた猫が祖先と言われていますが、北極圏に近いアルハンゲル島で誕生したという説もあります。
なので、ロシアンブルーの起源については定かではありません。
ロシアンブルーの以前の名前に、アルハンゲルキャット(英語でアークエンジェルキャット)という名前があります。
アークエンジェルキャットという名前では、1880年代からイギリスのキャットショーに出演されていました。
ロシア皇帝やイギリスのビクトリア女王に特別に可愛がられていた猫とされており、高貴で美しいその容姿が猫愛好家の心を掴み人気となります。
1912年にはフォーリンブルー(外国の青猫)という名前で、独立した猫種になりました。
19世紀後半から20世紀前半は、戦争の時代は世界中で食糧難だったことにより、ペットの猫たちも個体数が少なくなっていきました。
これはロシアンブルーも例外ではなく、純血を維持できないほど激減していたため、戦後はロシアンブルーを復活させるために、異種交配の試みが始まりました。
美しいブルーの毛色を求める繁殖家は、ブリティッシュショートヘアなどの猫種と交配を行いました。
また、頭部から肩へのシルエットを求める繁殖家はシャム交配を行いました。
こうして、最終的にはこれらもひとつの血統に統合されていくことになったのです。
ちなみに、この時交雑に使われたシャムはブルーポイントの毛色ですが、劣性遺伝子のため通常はロシアンブルーの交配で生まれることはありませんでした。
しかし、両親ともシャムの毛色の遺伝子を持っているロシアンブルーと交配すると、シャムの毛色の子猫が生まれることもあるようです。
戦後はシャムとの交配が行われたため、数世代の頃はさらに出現頻度が多かったことから、ロシアンブルーの人気は過熱することなく、落ち着きました。
20世紀初期にロシアンブルーはアメリカにわたり、品種改良が行われました。
ロシアンブルーの特徴
ロシアンブルーは、エメラルドグリーンで楕円形の瞳に、先がピンと尖った耳が特徴です。
また、頭をすっと持ち上げたような首の姿勢から「コブラ・ヘッド」と呼ばれています。
被毛は短毛のダブルコートで、細く滑らかな毛に覆われているので、肌触りがとても良いです。
口元が微笑んでいるように見えることから、「ロシアンスマイル」と呼ばれることもあります。
しっぽが長く手足は引き締まっており、細い体に無駄のない筋肉をまとっています。
ロシアンブルーの性格
ロシアンブルーは、とても飼い主に忠実で、犬のような性格と評されることも多い猫種です。
ですが、ライドが高く気まぐれで、自分が親しんだ相手がほかの猫に情をかけると猛烈に嫉妬してしまうなど、猫らしい性格も兼ね備えています。
ロシアンブルーは、あまり鳴かない猫種で「ボイスレス・キャット」という別名もつくほど静かです。
性格的には気難しい面があるので、ベタベタしすぎても、優しさが足りなくても、仲良くなることができません。
なので、絶対的な信頼関係を結んだ相手を独占しようとする性格なのだともいえますね。
飼い主には献身的な性格ですが、警戒心が強くて臆病な一面もあるので、見知らぬ人が家にくると、すぐに身を隠します。
あまり騒がしい場所は好まず、「信頼している飼い主と、二人だけで時間を過ごしたい」というタイプの猫だと言えます。
ロシアンブルーの寿命
ロシアンブルーの平均寿命は、日本では10歳~13歳と言われており、やや短いです。
米国では15歳~20歳で、遺伝的な変異がない自然血統(ナチュラルブリード)なので、米国では長生きの猫とされています。
また、25年以上生きた長生きの例もあると報告されています。
ロシアンブルーに長生きしてもらうためには、室内外が推奨されます。
ロシアンブルーの体重
ロシアンブルーの適正な体重は、オスで4.3キロ、メスで3.5キロほどが目安です。
猫全体の体重平均と比べると非常に軽いことから、小柄でスレンダーな猫なのが分かります。
さらに筋肉質なので、よりスリムに見えるでしょう。
ロシアンブルーの値段
ロシアンブルーの値段の相場は、平均で17万円前後、最高価格で30万円、最低価格で7万円です。
一般的に子猫の価格は、猫種スタンダードに近いかどうか、血統、顔、毛色、体の大きさ、月齢などの要因で決まるので、一概にいくらという事はできません。
ロシアンブルーの飼い方
ロシアンブルーは、厚い被毛により寒さに強く暑さに弱い猫種です。
なので、夏は特に注意してあげる必要があります。
人見知りをして飼い主以外には触れられることを嫌がる傾向がありますので、猫が慣れていない人を家に迎えるときが充分に配慮をしてあげましょう。
ストレスに弱く繊細な猫なので、飼い方には十分気を付けてあげてください。
また、短毛種でありながら定期的なブラッシングやコーミングも欠かせないので、しっかりケアしてあげましょう。
ロシアンブルーがかかりやすい病気
ロシアンブルーは遺伝病がないと言われていますが、かかりやすい病気があるので注意が必要です。
こちらでは、特に気を付けたい病気をいくつか解説します。
- 目の病気
- 膵臓の病気
- お腹の病気
- 泌尿器の病気
- 関節の病気
- 免疫の病気
目の病気
ロシアンブルーがかかりやすい病気の中でも、一番分かりやすいのは目の病気です。
特に多いのが「結膜炎」で、眼球の白目からまぶたの裏側を覆っている膜に炎症が発生した状態になります。
痒がったり白目が充血したり、目やにが出るなどの症状が見られるでしょう。
なので、今まで出ていなかった目やにが出た際は、結膜炎などの病気やその他の疾患の初期症状である場合が考えられるので、色や粘土をよく観察しましょう。
特に注意したいのは濁った目やにで、この場合はすぐに動物病院に診てもらった方が良いです。
結膜炎は急性・慢性の、カタル性・化膿性に分かれていて、軽度であるカタル性では水のようにサラサラした液体です。
しかし、重症化し化膿性になると、黄緑色の膿を排出するようになり、さらに重症化すると上下の瞼が腫れてくっついてしまいます。
そうなると、結膜が凹凸状に変形してしまい、自力で眼を開けることが困難になります。
そうならないためにも、早期発見が大切です。
膵臓の病気
ロシアンブルーがかかりやすい病気の中でも、膵臓の病気では「糖尿病」が挙げられます。
糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンの作用不足によって、血糖値が高くなってしまう病気です。
合併症を伴う事が多いので、注意が必要です。
猫の場合は、肥満が大きな主な原因となります。
尿病から糖尿病性ケトアシドーシスという状態に陥ると、食欲不振や衰弱、嘔吐などの症状が見られます。
猫の糖尿病は、肝リピドーシスや末梢神経障害などを併発しやすいので、特に注意が必要です。
お腹の病気
ロシアンブルーがかかりやすい病気の中でも、お腹の病気の代表としては、「FIP(猫伝染性腹膜炎)」が挙げられます。
猫伝染性腹膜炎は、コロナウイルスというウイルスによる全身性の感染症です。
症状としては発熱や食欲不振、体重減少から始まり、神経が障害されると、発作や歩行障害などが出始めるでしょう。
腹膜炎とありますが、マクロファージといいう血液内の成分に感染するので、血流に乗って全身にウイルスが運ばれると、とても重い症状を起こします。
重症化すると命に関わる危険もある感染症なので、注意が必要です。
ウイルスが体内から抜ければ治りますが、神経症状が起こってしまう病気なので、飼い主さんはその見た目にもショックを受けてしまう可能性があるでしょう。
泌尿器の病気
ロシアンブルーがかかりやすい病気の中でも、「尿石症」という病気があります。
尿石症は、尿に含まれるリン、カルシウム、マグネシウムなどのミネラル成分が結晶化し、腎臓、膀胱、尿道などの泌尿器で結石になってしまう病気です。
その為に、さまざまな症状を引き起こします。
原因としては、食中に含まれる塩類のバランスや摂取量が崩れた場合や、飲水量が少ない場合などがあります。
また、塩類の再吸収を行う尿細管の機能が低下した際にも起こり得ます。
症状としては、トイレに行く回数が増えたり、1回に出す尿の量が減る様子が見られます。
重症化すると血尿が見られ、排泄時に痛がるようになります。
尿路閉塞が起こると体内から尿が出て行かず、毒素が体内に溜まってしまうので、早期のうちに治療を行わなければなりません。
関節の病気
ロシアンブルーがかかりやすい病気の中でも多いのが、「股関節形成不全」と「膝蓋骨脱臼」です。
股関節形成不全は生まれつきの病気で、寛骨・大腿骨の発育不全によって股関節がうまく噛み合わず、痛みが出て歩行困難になります。
膝蓋骨脱臼は、膝の皿の部分である膝蓋骨が太ももの骨からずれてしまう病気です。
こちらも後ろ足を引きずって歩くなど、痛がったり、歩行困難になるなどの症状が出ます。
いずれも手術をして骨の位置を治す治療し方法になります。
ですが、股関節形成不全の場合はそもそもの骨の形が本来と異なってしまっていることが多いので、完治が難しい病気です。
免疫の病気
ロシアンブルーがかかりやすい免疫の病気としては、「猫エイズ」(猫免疫不全ウイルス)があります。
猫エイズのウイルスは、喧嘩などによる咬み傷によって猫から猫へと伝染することが多く、免疫力の低下を引き起こします。
免疫の低下によって、健康な猫では問題にならない常在菌に対して症状が出る「日和見感染症」にかかりやすくなります。
これにより、口腔内や皮膚に炎症が起こやすい状態になるでしょう。
このように、病気にかかりにくいと言われているロシアンブルーですが、色々な病気にかかる可能性が十分にあるのです。
ロシアンブルーに限った話ではなく、どんな猫の場合も病気にかかる可能性は十分あります。
猫の種別ごとに、かかりやすい病気や症状を知っておく事も大切です。