ラグドールの歴史
ラグドールを最初に誕生させたのは、アメリカのカリフォルニアに住んでいた、ペルシャ猫のブリーダーです。
地域で暮らしていた他の猫と、ブリーダーの飼っていた猫が交配して生まれた子猫が、ラグドールの基盤となりました。
ラグドールの歴史には、ちょっとした騒動があります。
というのは、ラグドールを生み出した人物がラグドールの魅力に自信を持ち、新しい品種として育成することとをビジネスと結びつけて計画し始めたのです。
なので「ラグドール」の品種名は、登録商標としても使用されていました。
さらに、生み出した人物は既存の猫血統登録団体に登録せずに、新しい団体(IRCA)を設立して、ラグドールの血統管理と個体管理をフランチャイズビジネスの本部として行おうと考えていたのです。
繁殖を行う目的の人にはフランチャイズ契約を行うことを条件にして、猫を譲り渡していました。
この事態に疑問を持った夫婦が、フランチャイズ契約を行わずに譲り受けた子猫で、新たに繁殖を始めました。
これによって1970年代以降に固定化したラグドールは、初期の作出者以外の繁殖者によって、有力な血統管理団体CFAやGCCF、FIFeに登録することができたのです。
ラグドールの初期の作出者が設立した血統登録団体のIRCAは、20世紀後半に分裂しました。
また、これまでにIRCAにかかわった人たちによって、ラグドールを基礎に作った新しい猫種「ラガマフィン」も誕生しました。
ラグドールの特徴
ラグドールの特徴と言えば、ブルーの瞳に胸の前まで長い被毛と、顔や手足の特徴的な斑が入る毛色でしょう。
その姿は、よだれかけを掛けているようにも見えます。
筋肉質で重量感のある体格をしており、大きめの頭にややつり上がった青い目、丸い頬も愛らしいです。
しっぽは体長と同じくらいの長さがあり、大きめの猫種なので中型~大型に分類されています。
ラグドールの性格
ラグドールは非常におおらかな性格をしているので、抱きかかえられるのを好みます。
その様子がぬいぐるみを連想させるため、名称の「Ragdoll(ラグドール)」=「ぬいぐるみ」という意味がつけられています。
抱かれる相手が子供でも、ラグドールは体をずっしりと預けて大人しく抱かれています。
また、小さな子供などにちょっかいをかけられても、怒ったりすることがなく、根気よく接する優しさ、懐の深さを持ち合わせているといえます。
とても落ち着いた猫なので、大きい鳴き声を上げる事もなく、また激しい遊びにはあまり関心がありません。
なので、家庭内では常にさりげなくそばにいて、一緒にゆっくり時を過ごせる猫です。
お子さんがいる家庭でも安心して飼うことができるでしょう。
ラグドールの寿命
ラグドールの平均寿命は、14~16歳とされています。
これは、一般的な猫の全体の平均寿命とほぼ変わりありません。
ラグドールがより長生きするためのコツとして、室内で飼うという点が挙げられます。
毛の長い猫種なので、定期的なブラッシングも必要です。
ラグドールの体重
ラグドールの標準体重はオスとメスで違います。
オスの場合は、6.5~9キロほどで、メスの場合は、4.5~7キロ程度が標準的です。
これよりも極端に重い場合などは、健康のためにもダイエットが必要でしょう。
ラグドールの値段
ラグドールの値段は大体18万円前後です。
もし、ブリーダーや専門業者を介してショータイプや良血の子猫を購入する場合は、オスは25万円ほどです。
またメスは、オスより3~5万円程度高い値段で販売されることが多いです。
これは、メスの場合繁殖も視野に入れられるためこのような値段設定になっています。
ラグドールの飼い方
ラグドールは室内飼いに適した猫種です。
爪を立てたり引っ掻いたりもほとんどしませんし、イタズラで家具などを傷つけることも少ないので非常に飼いやすいです。
活発に活動するよりも、リラックスして過ごすのが好きなので、キャットタワーを置く場合は低めのもので大丈夫です。
大きな体と重みに耐える、安定した土台のキャットタワーを選びましょう。
また、ラグドールの若猫時代は、他の猫と同じように元気に走り回るので、たくさん構ってあげましょう。
成長するととても大きな体格になりますが、成猫になるまで3~4年かかります。
しっかりした体格と綺麗な毛並みを作るために、ご飯の栄養バランスはしっかり整えてあげると良いです。
そこまで長毛ではありませんが、ラグドールの被毛は厚く豊かなので、可能であれば毎日ブラッシングをしてあげる必要があります。
最低でも、週に2~3回以上のブラッシングまたはコーミングで、抜け毛をきちんと処理してあげる事が大切です。
ラグドールを家に迎え入れるときや、引っ越しの際には神経質になる傾向があるので、ペットケージやハウスなどで安心してくつろげる場所を作ってあげましょう。
新しい環境に慣れるまでは、あまり構わずにそっと見守るようにしてあげてください。
ラグドールのかかりやすい病気
ラグドールのかかりやすい病気と原因、治療法を解説します。
原因を知っておくことで、予防する事が出来るので、飼う前にしっかり読んでおいてください。
以下がラグドールのかかりやすい病気です。
- 猫伝染性腹膜炎(FIP)
- 下部尿路症候群
- 難産
- 子宮蓄膿症
- 肥大性心筋症
- 慢性腎不全
猫伝染性腹膜炎(FIP)
ラグドールのかかりやすい病気の一つ目は、「猫伝染性腹膜炎(FIP)」です。
猫伝染性腹膜炎は、猫腸コロナウイルスが突然変異を起こして強い病原性を獲得し、激しい症状を引き起こす病気です。
症状としては、腹膜炎を特徴した激しい症状が見られます。
致死性が高い病気で、発症してしまうと有効な治療法がありません。
なので、治療法としては対処療法が行われ、二次感染を防ぐための抗生物質の投与や免疫力を高めるネコインターフェロンの投与、炎症を抑える為の抗生物質の投与などが基本方針になります。
原因としては他の感染した猫の糞便を口にすることや接触する事で広がっていくので、特に生まれたばかりの子猫の場合は注意が必要です。
グルーミング等でも感染の可能性があるので、複数の猫を飼っている場合は、トイレの共有はなるべく避けましょう。
下部尿路症候群
ラグドールのかかりやすい病気の2つ目は「下部尿路症候群」です。
下部尿路症候群は、膀胱から尿道口をつなぐまでのどこかに結石などが出来てしまう病気です。
結石などが詰まると膀胱などに傷がついてしまう可能性があります。
症状としては、トイレの回数が増えたり、一回の尿の量が少ない、血尿などが見られます。
原因としては、飲水の量が足りていなかったり、食事によってアルカリ性に傾く事が挙げられます。
また、雄の方が重症化しやすい傾向にあります。
治療法としては、カーテルを尿道から通して結石を除去したり、尿毒症の治療が行われます。
何度も結石ができる場合は外科手術が行われ、ペニスを取って尿道を短くするなどします。
再発を防ぐためにも、食生活の見直しが必須になります。
難産
ラグドールのかかりやすい病気の3つ目は「難産」です。
難産は出産の際に胎児をスムーズに体外に分娩できない状態を指します。
1時間以上出産する気配がない場合は、難産が疑われます。
母体内にいる胎児が大きすぎたり、母親の骨盤が小さいなど、両方が原因になっている可能性があります。
この場合、帝王切開を行って出産させる方法がとられます。
子宮蓄膿症
ラグドールのかかりやすい病気の4つ目は「子宮蓄膿症」です。
子宮蓄膿症は、雌猫の子宮内に病原体が入り込み、炎症反応が起こって膿がたまってしまう病気です。
症状としては、水をよく飲む、おしっこの回数が多い、お腹が膨れている、陰部から膿が出る、発熱や嘔吐などが現れます。
原因は、子宮内に菌が侵入する細菌感染であったり、子宮内膜炎から子宮蓄膿症へ進行する際の子宮内膜形成などが挙げられます。
治療法としては主に、ホルモン剤の投与や外科手術による子宮の摘出、避妊手術などが行われます。
肥大性心筋症
ラグドールのかかりやすい病気の5つ目は「肥大性心筋症」です。
肥大性心筋症は、心臓の壁が分厚くなりすぎて収縮に支障が生じ、血液が全身に循環できなくなってしまう病気です。
診断方法は胸部エックス線やエコー検査、心電図写真などを通じて下されます。
主な症状としては、元気が無かったり、食欲不振、息が苦しそう、お腹が膨らむ、のどが渇くなどが見られます。
原因は多くの場合不明とされていますが、ウイルス感染や自己免疫疾患、遺伝などが考えられています。
治療法は、肺に水が溜まっている場合は利尿薬が与えられたり、低体温を起こしているときは体を温め、脱水しているときは輸液などで体液を補給するなどが行われます。
慢性腎不全
ラグドールのかかりやすい病気の6つ目は「慢性腎不全」です。
慢性腎不全は、体液をろ過して不純物を取り除いている腎臓に異常が発生し、有害成分が蓄積していく病気です。
主な症状としては、食欲不振、体重減少、多飲、多尿、貧血などが現れます。
原因としてはまだはっきりしていませんが、もともと持っている病気であったり、遺伝、AIMと呼ばれる特殊なタンパク質が機能していないなどが考えられています。
治療法は、現在の症状を軽症化させるための治療や投薬治療、タンパク質と塩分量をコントロールした食事療法、他の治療法が効かなくなってしまって重症な場合は腎移植などが行われます。
投薬治療では、輸液、ホルモン剤投与、腹膜灌流、血液透析、窒素化合物を吸着させる薬剤の投与が行われます。
ラグドールは重症な遺伝子疾患は比較的少ない猫種ですが、先祖の中にペルシャ猫がいるので、その遺伝子関連の病気にかかりやすい傾向があります。
突然死に至る病気もあるので、何かいつもと違う様子が見られた場合はすぐに病院へ連れていきましょう。