ヒマラヤンの歴史
ヒマラヤンの原産国は、アメリカとイギリスの両方になっている場合が多いです。
イギリスでは比較的早いうちから、シャムとペルシャの交雑猫が存在しており、「クメール」という名前で呼ばれていました。
アメリカにおいては、ペルシャの純血ではない長毛のクロネコとシャムを交配させ、さらにペルシャ、シャムとの交雑を行うことで育種が進められました。
これにより、1935年に現在のヒマラヤンのような猫が誕生しました。
当初は「デビュタント」という名前が付けられており、1957年にはTICA、CFAに公認されていました。
ヒマラヤンは、独立した品種ではなく、ペルシャのバラエティのひとつという分類に分けられています。
CFAでは独立した猫種とするには、同じ特徴の子孫が少なくとも3世代確認できることが条件とされていました。
しかし、毛色はポイントが入るようになったものの、顔立ちがシャム寄りでペルシャのそれより鼻が高いなど、独立した猫種としては不安定な状態でした。
このような課題を踏まえて、ヒマラヤンの育種はよりペルシャに近い方向で進められました。
こうして、70年代になってようやく理想に近いスタイルになったのでした。
1957年以降は、CFAだけで実に34万頭以上が登録された人気猫種であり、ヒマラヤンたちは長年にわたって、キャットショーで多くの賞を勝ち取りました。
それでもなお、CFAではペルシャのバラエティとして「ヒマラヤン・ペルシャ」と名付けられています。
ヒマラヤンは未だ「未完の傑作」として、現在も繁殖家や愛好家によって改良が続けられているのです。
ヒマラヤンの特徴
ヒマラヤンは特徴的なポイントの毛色がヒマラヤウサギに似ていることから、その名が付けられました。
ヒマラヤンは容姿はペルシャに似ており、顔立ちもペルシャと同じように鼻の高さが低いエクストリームと、鼻筋が通ったトラディショナルが存在します。
瞳はブルーで、毛色はポインテッドに限られています。
また、短めの太い足と短めの丸い体を持つ、中型からやや大きめのコビータイプに分類されます。
ヒマラヤンの性格
ヒマラヤンは、穏やかで大人しい性格をしています。
温和でおっとりとした性格もペルシャと同様です。
甘え上手ですが自立心もあるので、しつこくなく、さりげなく家族のそばにいます。
時にはシャム猫のような陽気さも見せ、飼い主を楽しませてくれます。
飼い主にとても従順なので、膝の上に乗ってきて撫でて欲しいアピールをしてくる事もあります。
シャムの血が入った影響からか、ペルシャ猫よりも人懐っこい傾向にあるようです。
人間だけでなく他のペットとも仲良くなれる友好的な性格をしているので、既に他のペットがいる家庭でも安心です。
運動はあまり得意ではないので、激しく動き回ることをしません。
また、騒がしい環境も苦手なので、そういった面では少し神経質な一面も見られます。
鳴き声は、ほとんど出さず静かな猫なので、マンションなどの集合住宅でも安心です。
活発なのは若いうちだけで、成猫になるとくつろいで過ごすことが多くなるでしょう。
ヒマラヤンの寿命
ヒマラヤンの平均寿命は14~16歳と、一般的な猫に比べてやや長めと言えるでしょう。
あくまでもこれは平均なので、これよりも長生きした猫もたくさんいます。
ヒマラヤンには遺伝的にかかりやすい病気があり、「多発性のう胞腎」といいます。
ペルシャ系の猫がかかりやすい遺伝病で、ひどくなると慢性腎不全を引き起こしてしまいます。
もし、ヒマラヤンの脇腹が膨れてきたら多発性のう胞腎の可能性を疑い、早めに動物病院を受診し、適切な治療を受けさせましょう。
ヒマラヤンの体重
ヒマラヤンの平均体重は、オスで4.0kg~6.1kg、メスが3.2kg~5.0kgほどです。
見た目はぽっちゃりしているように見えますが、実は筋肉質でがっしりとした体型です。
ヒマラヤンの値段
ヒマラヤンの値段相場は20万円前後です。
ペットタイプであれば15万円程度で販売されている場合もあります。
しかし、親のキャットショーなどの成績によって、30万円を超える値段がつくこともあるようです。
ヒマラヤンの飼い方
ヒマラヤンは、人のすることをよく見ているので覚えも早く、賢い猫なのでしつけも簡単です。
遊び好きではありますが、走り回り激しく興奮するタイプではなく、高い所にのぼるのも得意ではありません。
なので小さなおもちゃなどで遊んであげると良いでしょう。
太りやすい傾向があるので、運動不足になりがちな場合は食事バランスの調整も必要となります。
ヒマラヤンのケアは、長毛のダブルコートなので楽ではありません。
美しく保つためには、毎日は大変でも、週に数回はコーミングかブラッシングをしてあげる必要があります。
頻度が足りないと、毛がもつれて絡まってしまい、後々大変です。
また、シャンプーも月に1度くらいは行ってあげましょう。
従順な猫種ではありますが、できるだけ子猫の頃から定期的なシャンプーに慣らしあげることで大人しく言うことを聞いてくれます。
ヒマラヤンのかかりやす病気
猫は遺伝や体質によって、かかりやすい病気が異なります。
そのため少しでも長生きしてもらうためにも、愛猫のかかりやすい病気を知っておき、日頃から気を付けてあげる事が大切です。
猫ちゃんとスキンシップを取ったり、ご飯を食べている様子を観察したり、おトイレの状態をチェックするなど、健康状態を確認するタイミングは多々あります。
もし普段と違う様子やどこか不自然さを感じたら、すぐに動物病院を受診しましょう。
こちららでは、ヒマラヤンのかかりやすい以下の病気について、症状や治療法を含め解説していきます。
- 短頭種気道症候群
- 多発性嚢胞腎症
- 皮膚糸状菌症
- 過敏性皮膚炎
短頭種気道症候群
ヒマラヤンのかかりやすい病気の1つ目は「短頭種気道症候群」です。
短頭種気道症候群は、短頭種の猫の鼻や喉などの気道が異常に狭くなって、呼吸器の症状を発症する病気です。
若齢から発症し、気道の負荷によって重症化する可能性があります。
重症化すると呼吸困難を引き起こすので、最悪の場合命を落とす可能性もある危険な病気です。
症状としては、安静時にグーグ―、ブーブーといった呼吸音が聞こえたり、喉や気管を通るときにヒューヒューと吐息のような音が聞こえることがあります。
重症化すると口を開けて速い呼吸をし、体温調節が上手くいかなくなって高体温になり、呼吸困難や失神を引き起こします。
先天的な疾患なので予防法はありませんが、重症化を防ぐためにも安静をとって涼しい環境で過ごすことが大切です。
また、治療法としてはステロイドの投与による内科治療と、鼻孔の一部を切除して鼻のとおり道を広げる手術や、喉の奥の伸びた筋肉を切除する手術を行う外科治療があります。
短頭種気道症候群は早期発見、早期治療が大切です。
多発性嚢胞腎症
ヒマラヤンのかかりやすい病気の2つ目は「多発性嚢胞腎症」です。
多発性嚢胞腎症は、腎臓に異常な嚢胞が発生する遺伝性の病気で、腎臓の正常な組織を圧迫し、最終的に腎不全を引き起こします。
初期は無症状ですが、超音波検査で発見される場合があります。
症状が進行すると腎不全の症状がではじめ、多飲多尿やトイレで長い時間おしっこをする、水を長い時間飲むなどが見られます。
さらに尿毒症を発症すると、口臭がきつくなったり元気がない、食欲不振、脱水や便秘、嘔吐などが現れます。
遺伝性の病気なので予防は難しく、定期的に健康診断を受けることが大切です。
治療法は主に腎不全に対して行われ、食事療法や点滴を行って脱水症状を改善します。
また、内服を行い蛋白尿や、腎臓の炎症や繊維化を抑制します。
皮膚糸状菌症
ヒマラヤンのかかりやすい病気の3つ目は「皮膚糸状菌症」です。
皮膚糸状菌症は、カビの一種である糸状菌に感染し、脱毛や皮膚炎を引き起こす病気です。
無症状で被毛が感染している場合も少なくなく、もし症状が見られる場合は皮膚や被毛に現れます。
感染後1〜4週目に一部の毛が抜けて円形に脱毛し、周囲に徐々に拡大して皮膚が若干赤くなります。
そこから、フケやかさぶたが確認できる場合もあるでしょう。
最も多く起こる部位は頭部と四肢ですが、痒みがなわずかな場合が多いです。
また、ごくまれに全身に脱毛が進む場合もあります。
もしこのような様子が見られた場合は、免疫不全を起こす基礎疾患がないかの検査が行われます。
予防法としては部屋を清潔に保つことが挙げられます。
治療法は抗真菌薬による治療が主となり、塗り薬、シャンプー、内服などを行います。
局所の感染の場合は、毛刈りと塗り薬を使用しますが、病変が多発したり全身に感染した場合は、全身の毛刈りと抗真菌シャンプーを行います。
過敏性皮膚炎
ヒマラヤンのかかりやすい病気の4つ目は「過敏性皮膚炎」です。
過敏性皮膚炎は、環境中の花粉やハウスダストなどのアレルゲンが過敏に反応し、ヒスタミンを放出することで、皮膚に強い痒みや炎症が現れる病気です。
症状は主に強い痒みで、季節によって痒みの強弱があります。
痒みが強くなると日常的に皮膚をかきむしったり、舐めまわしたりします。
痒みは耳周辺に起こりやすく、下腹部や背中側のおしりから尾にかけて脱毛や炎症が起こるのが特徴です。
また、皮膚を観察してみると、赤いぽつぽつやかさぶたが見られる場合があります。
予防法としては、猫にとってストレスのない環境を整えてあげる事が大切で、特にノミは皮膚炎を悪化させるので注意が必要です。
治療法は飼育管理と内科治療で、ステロイドやビタミン剤を使用して痒みや炎症を抑えます。
ただし、病気を治す根本的な薬はないので、障害に渡って薬を飲む必要があります。
この治療法によって、約40~70%痒みが軽減されます。
もし内科療法を行っても反応が見られない場合は、免疫療法が検討されます。
免疫療法ではアレルゲンを少しずつ投与して、体をアレルゲンに慣らす事で、約50〜70%の猫で改善が見られます。