猫は野生で狩りをして生きていた頃から聴力や嗅覚が優れた動物であり、口呼吸ではなく、基本的には鼻呼吸の動物です。
猫が頻繁にくしゃみをしていたり、鼻水を出している、鼻血が出ていた、などのくしゃみや気になる症状が連続している場合は、何か重大な病気が隠れている可能性もあります。
こちらでは、そんな猫のくしゃみや鼻のトラブルの原因について解説します。
もし鼻呼吸ができずに口から呼吸していたり、病気のサインが出ていたら、すぐに動物病院へ連れて行くようにしてくださいね。
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猫がくしゃみする原因はなに?
猫のくしゃみにも、人間と同じように生理現象によるものとそうでない場合があります。
これらはどのようにして見分ける事が出来るでしょうか。
猫のくしゃみには生理現象と病気が原因の場合がある
- 病気か生理現象のくしゃみかを見分けるポイント
- 猫の花粉症?
猫のくしゃみには生理現象と病気が原因の場合がある
猫のくしゃみの原因として一番多いのは、ほこりや微物などを吸い込んでしまったときです。
また、刺激の強いにおいをかいでしまった時も、くしゃみが出ます。
どちらのくしゃみの場合も、この場合はごく普通の生理現象なので、心配する必要はありません。
この時のくしゃみは、外部からのウイルスや病原菌から体を守るためにするくしゃみです。
また、一番飼い主が気にしてあげなくてはならないのは、アレルギーを持っている猫です。
アレルギーの元になる分質に反応している場合もあるので、充分注意が必要です。
猫風邪などの症状でもくしゃみをしますので、くしゃみひとつといえども注意が必要です。
病気か生理現象のくしゃみかを見分けるポイント
前述したように、猫は生理現象でくしゃみする場合があります。
なので、一度くしゃみをしたからといってすぐに動物病院へ駆けつける必要はありませんが、単にくしゃみをしているだけの場合は、安心して放置していてはいけません。
猫がくしゃみをしている場合は病気か生理現象のくしゃみかの判断について、猫の様子を観察しなければなりません。
もし猫がくしゃみをしていたら、動物病院へ連れて行くタイミングを見逃さないように気を付けましょう。
猫のくしゃみの状態をセルフチェックするには、以下のポイントで判断しましょう。
- 目やにや涙が出ており、食欲が低下している
- くしゃみが連続して出ている
- 何日もくしゃみをしている
- くしゃみをすると鼻水が出ている
- 鼻水が黄色や白色など膿のようになっている
- 鼻血が出ている
生理現象か、病気のサインなのかを見極める一番のポイントは、くしゃみの回数です。
くしゃみが1度や2度で済んでしまう場合は、鼻を刺激したことによる生理現象なので心配する必要はないでしょう。
病気かを見極める為に一番気を付けなければならないのは、くしゃみが「連続」して出ている場合です。
体調を崩していたり病気が関係している場合は、連続してくしゃみが出て止まらない、鼻水が出ている、鼻血が出るなどの症状が見られます。
これらは病気のサインである可能性が非常に高いので、重症化する前に動物病院に連れて行かなければなりません。
さらに鼻水まで出てきている場合は、一刻も早く動物病院へ連れて行く必要があります。
猫の花粉症?
猫も花粉症にかかる事があるので、花粉症を疑うかもしれません。
しかし、猫の場合は花粉によるアレルギー反応があっても、人間のようにくしゃみや鼻水が主症状としてでるわけではありません。
人間の花粉症は、鼻やのどといった呼吸器に症状が出ますが、猫の花粉症は主に皮膚に症状出るので、くしゃみではないのです。
花粉のアレルギー反応でかゆい場合、猫はひっかいたり、なめたりします。
なので、猫の花粉症は皮膚炎だと思う飼い主さんが多く、皮膚炎だと思い病院に連れて行ったら花粉症だったということもあるようです。
猫のくしゃみで考えられる病気
猫がくしゃみをする原因として多いのが、「猫風邪」です。
猫風邪というのは正式な病名ではなく一般的に、
- 猫ウイルス性鼻気管炎
- 猫カリシウイルス
- 猫クラミジア
- マイコプラズマ
を総称して呼びます。
なので、動物病院で診察してもらうと、詳しい病名が判明します。
それぞれの、猫風邪の症状を説明していきます。
猫がくしゃみする原因①猫ウイルス性鼻気管炎
猫ウイルス性は鼻気管炎は風邪の症状で主に、くしゃみ、鼻水、咳、目やに、発熱、食欲不振などが症状です。
重症化しやすい感染症なので、急激に衰弱したり脱水症状が起こったり、最悪の場合死亡する可能性もあります。
特に体力のない猫、生後半年に満たない子猫は、症状の悪化が早く死亡してしまう危険性が高いので、くしゃみをしていたら注意してあげましょう。
猫がくしゃみする原因②猫カリシウイルス
猫カリシウイルス感染症は、猫ウイルス鼻気管炎に似た風邪の症状が出る病気です。
くしゃみや鼻水に加え、目やになどがひどくなると、口や舌に潰瘍や水泡ができるのがポイントです。
腫瘍や水疱が痛くてご飯を食べられなくなったり、ヨダレを大量に出すようになったら、悪化しているサインなので、すぐに病院に連れて行ってあげましょう。
猫がくしゃみする原因③猫クラミジア
猫クラジミアは、生後2ヶ月から半年の子猫がかかりやすい感染症です。
初期症状は、目やにが出る、鼻水が出る、くしゃみをする、咳をするなどがあり、人間の風邪の症状に似ています。
体力のない猫の場合は他の病気と合併し重症化する可能性があります。
肺炎になると死亡してしまう事があるので、早期発見し早めに治療が必要です。
猫がくしゃみする原因④マイコプラズマ
猫マイコプラズマに細菌感染は、くしゃみや鼻水、咳のほかに発熱の症状がポイントです。
さらに、結膜炎や感染性関節炎を引き起こす特有の症状が出ます。
もしくしゃみをしていて、動物病院へ行ったのにくしゃみが連続して治らない場合は、一度検査してもらうと良いでしょう。
くしゃみより危険!咳が出てたら要注意
猫のくしゃみよりも危険で気を付けたい症状として、咳が挙げられます。
よく、咳も猫風邪なのではないかと思われていますが、実は風邪以外でも咳が出ることがあります。
なので、もし猫が咳をしていたら、猫風邪だと決めつけずに病気を疑ってください。
◎猫が咳をする要因
- 心臓や肺に問題がある
- 猫喘息
心臓や肺に問題がある
猫が咳しているときは、心臓や肺に問題がある場合があります。
心臓が悪くなると、血液の流れが停滞して、血管から肺に水が流れ出す危険があるのです。
これにより、さらに咳が悪化します。
また、肺に腫瘍ができたり、炎症が起きている場合も咳が出ます。
肺の腫瘍は他の病気が原因となって引き起こされることが多いですが、別の場所に転移してできるケースもあるので注意が必要です。
猫喘息
また、猫が咳する3つ目の原因として、猫喘息が挙げられます。
猫喘息は年齢に関係なく現れ、人間と同じようにハウスダストなどに反応して咳が出ます。
実際の要因に関しては分かっていないので、何が原因で猫喘息が起こるかは分かりません。
猫喘息はいつ、どんな猫でもかかる可能性のある病気と言えます。
猫喘息の症状は咳だけでなく、ゼーゼーと言った喘鳴や、気管支の炎症、気道粘液が増えることで痰が出るなどの症状が現れます。
重症化すると呼吸困難になる恐ろしい病気であり、命の危険もあるので早めに病院に連れていきましょう。
猫喘息の治療法
猫喘息の治療法としては、タバコなどのアレルギーの原因となる要因を排除する事や、気管支拡張剤やステロイドなどの内服薬の服用が主になります。
ステロイドは内服と吸引の2種類があり、吸入タイプの場合はネブライザーと呼ばれる吸入用の機器を使います。
なので動物病院で吸入を行う事になり、もし発作が起きて呼吸困難になった場合は、入院して酸素吸入が行われます。
猫喘息の治療費
治療費の一例としては以下のようになります。(11歳ミックス種の猫の場合)
- 診察料(2回)…1,850円
- 血液検査・生化学検査 …9,600円
- レントゲン検査 …4,500円
- 内服薬7日分 …1,750円
- 合計 17,700円
治療内容や治療費はあくまでも参考です。
治療をする事は出来ますが、猫喘息はいくら治療しても完治が難しい病気です。
なので、もし猫喘息にかかった場合は、うまく付き合っていくしかありません。
治療が手遅れになると、呼吸困難で亡くなってしまうリスクが高くなってしまうので、重症化しないうちに早め早めに治療する事が大切です。
また、喘息の発作が起きないようきちんと薬を飲んだり、アレルギー発生の原因になりそうな事を減らしてあげる事が重要となります。
猫の咳が続く場合
猫のくしゃみは生理現象で起こる場合がありますが、咳は病気の可能性が高いと言えます。
咳が出ている場合は、すぐに治療の必要な病気が隠れている事があるので、様子を見るのではなく早めに病院に連れて行ってあげましょう。
猫と犬は似ていると思われがちですが、実際には全く別の生き物です。
かかりやすい病気も、感染しやすいウイルスの種類も全然違うので、同じように捉えないようにしてください。
犬の場合は子犬の頃に、ケンネルコフという咳が主症状の風邪をひくこともあります。
しかし、猫の風邪の場合は目やにや鼻水、くしゃみなどが主症状が多く、風邪で最初から咳をすることは滅多にありません。
とにかく、咳をしていたら早めに病院を受診する事が大切です。
最後に
猫のくしゃみや咳には、様々な病気のサインが隠されている可能性がありました。
どの病気も重症化すると更に別の病気と合併したり、治癒に時間がかかってしまい猫に負担がかかってしまいます。
猫の咳の場合は、明らかに通常は聞かない音なのですぐに気づく事ができるでしょう。
くしゃみや毛玉を吐き出すときの音とは違うため、間違えないと思いますので、もし猫が咳をしていたら、慎重に様子を見るようにしましょう。
後遺症のリスクもでてくるので、くしゃみをしている場合は注意して観察し、長引く場合は早めに病院へ連れていってくださいね。
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