猫の避妊・去勢手術はなぜ必要?【メリットやデメリット解説します】

猫を飼っている方・これから飼う方が意識しておきたいのが、猫の避妊や去勢手術についてです。

 

避妊・去勢の手術はなるべく子猫のうちに行っておくのが一般的で、早めに決断する必要があります。

また、手術をしたいからといってすぐにできるものでもないので注意しましょう。

避妊や去勢の手術をするかしないかは、早めに考え始めたほうが良いですね。

 

 

こちらでは、猫の避妊・去勢手術はなぜ必要なのかについて、メリットやデメリットを詳しく解説します。

 

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猫の避妊や去勢の手術ってなに?

猫の避妊手術や去勢手術とは、生殖器である卵巣や子宮、精巣などを切除する手術の事を言います。

 

発情期に入った猫は大きな声で鳴くなど困った行動をする事がありますが、避妊や去勢手術を行えばそれらを防ぐことが出来ます。

また、生殖器に腫瘍が出来るのを防ぐことができるなどのメリットもあり、健康面からみても良いと言えます。

なので、将来的に赤ちゃんを産ませる予定のない猫ちゃんの場合は、去勢や避妊手術をする飼い主さんが多いです。

 

ここからは、猫の避妊・去勢手術について正しい知識を持ち、猫や飼育環境に合わせてするかしないかを適切に判断するために、メリットやデメリットを解説します。

 

猫が避妊・去勢手術をするメリットとデメリット

猫の避妊・去勢手術にはお金がかかるので、していないとい人もいます。

しかし、将来的に赤ちゃんを産む予定がない場合はメリットの方が多いので、避妊・去勢手術はしてあげたほうが良いでしょう。

メス猫が避妊手術をするメリット

【メリット】

  • 望まない出産を避けることができる
  • 病気を予防できる
  • 発情期独特の大きな鳴き声をしなくなる(近所迷惑になる心配がない)
  • 発情期のストレス軽減

 

望まない出産を避けることができる

猫を外で飼わない事はもちろん、室内飼育でも猫が家に侵入してしまう事があります。

また、家から逃亡してしまう事もあるので、多頭飼いをしていなくても妊娠してしまう可能性は十分にあるのです。

 

このような故意的な出来事で妊娠してしまわないためにも、将来的に子供を産む予定のないメス猫は避妊手術をした方が良いです。

猫の場合は肛門の刺激によって排卵するので、交尾をした場合は妊娠してしまう可能性が非常に高いです。

もし外で知らない間に子猫を生んでしまうと、子猫は野良猫(地域猫)として殺処分の対象とされてしまう事があるので、望まない妊娠は避けたいところですね。

 

病気を予防できる

メス猫は避妊手術をする事で、さまざまな病気を予防することが出来ます。

例えば、周期的な性ホルモンの影響を受けにくくなるので乳頭腫瘍(ガン)になるリスクが大幅に低下します。

また、卵巣や子宮を切除するので、生殖器に生じやすい生殖器疾患を予防することができるのです。

その他にも、卵胞嚢腫(らんぽうのうしゅ)や子宮蓄膿症などの病気を予防するメリットがあります。

 

発情期独特の大きな鳴き声をしなくなる(近所迷惑になる心配がない)

発情期に入ったメス猫は、発情期独特の大きな鳴き声でオス猫を呼び寄せようとします。

発情期間中は赤ちゃんが泣いているかのような、夜中でも高い大きな鳴き声で鳴くことがあるので、近所迷惑になる可能性があります。

避妊をしておけばそのように大声で鳴く事がなくなるので、近隣に迷惑をかけることがありません。

 

発情期のストレス軽減

猫によって個体差がありますが、発情期はだいたい1年のうちの春から夏にかけて、2~3回訪れます。

この発情期の時期は、前述したように高い大きな声で鳴いたり、人や物に必要に体を擦りつけるなどをして甘えてきたりと、いつもとは違った様子が見られます。

常に興奮状態いるので体力を使い、食欲も低下しますがそれでも交尾をする事が出来ないため、ストレスを溜めやすくなってしまうのです。

 

発情自体のストレスが原因となり、体調を崩してしまったり食欲が回復しない事もあります。

避妊手術を行い発情するのを防げば、このようにストレスを溜めたり体調を崩してしまう事もありません。

発情時の独特の行動や体調の変化が起こる事もないので、健康状態を維持できるでしょう。

 

メス猫が避妊手術をするデメリット

【デメリット】

  • 将来的に赤ちゃんを産むことができない
  • 肥満になりやすくなる
  • 手術や麻酔のリスクがある

 

将来的に赤ちゃんを産むことができない

子猫が欲しいと思っても、避妊したメス猫は将来的に赤ちゃんを産むことが出来なくなります。

なので、もし将来子猫が欲しいと考えている場合は、避妊手術を行う必要はありません。

 

肥満になりやすくなる

卵巣や子宮を切除する事によりホルモンバランスが変わるため、避妊手術を行うと肥満になりやすくなります。

具体的には代謝が落ちる事で手術前と同じ量を食べたとしても太ってしまう可能性があります。

もし少し丸くなってきたなと思ったら、食事の量やカロリーを調整するなどし肥満体系にならないように気をつけてあげましょう。

 

また、肥満になると下部尿路疾患のリスクが高くなり、他の病気になる可能性も上がるので十分気を付けましょう。

 

手術や麻酔のリスクがある

猫の避妊・去勢手術は全身麻酔をした状態で行われます。

近年ではどんどん手術や麻酔の技術が発達しリスクは少なくなってきていますが、それでも猫にとって手術を行う事は負担になってしまいます。

避妊や去勢の手術をする際は、まず体調をしっかりと整えておくことと、術前に十分に検査をしておくことが大切です。

 

オス猫が去勢手術をするメリット

【メリット】

  • 望まない妊娠を避けることができる
  • 病気を予防できる
  • 発情期のストレス軽減
  • 発情期の問題行動がなくなる

 

病気を予防できる

精巣を切除する事で精巣腫瘍を予防できるだけではなく、前立腺の病気の発症リスクが低下したり、猫免疫不全ウィルス感染症(猫エイズ)などの感染症発症リスクが低下するなどのメリットがあります。

生殖器系の病気は犬と比べるとかなり稀なので、去勢をしなくてももともと発症リスクは低いです。

それでも、病気になる可能性を少しでも減らすことが出来るのは大きなメリットだといえるでしょう。

発情期のストレス軽減

猫は生後6か月~12カ月で性熟期を迎えます。

オス猫の場合、決まった発情期というのは特にありませんが、性熟期を迎えるとメス猫の鳴き声や姿に性的に反応し、いつでも交尾が可能な状態になります。

発情期中は、発情したメス猫の鳴き声に合わせて大きく鳴いたりスプレー行動と呼ばれる、強いにおいのおしっこをあちこちにマーキングするなど、独特な行動をします。

 

しかし、どんなに大きな声で鳴いたりマーキングを行っても、メス猫と出会う事はないのでストレスを感じてしまいやすいです。

去勢手術が済んでいるオス猫であれば、このようにメス猫を探し求める事もなくなるので、発情期によりストレスを溜めることはまずありません。

 

発情期の問題行動がなくなる

発情期の問題行動として大きな声で鳴いたりスプレー行動をするほか、喧嘩をしやすくなるなど攻撃性が高くなるという面もあります。

 

しかし、去勢をしたオス猫は逆に性格が穏やかになり、問題行動をしなくなるので飼いやすくなると言われています。

ただし、これらは個体差があるので去勢した時期などによって変わってきます。

 

オス猫が去勢手術をするデメリット

【デメリット】

  • 将来的に赤ちゃんを産ませることができない
  • 肥満になりやすくなる
  • 手術や麻酔のリスクがある

 

将来的に赤ちゃんを産ませることができない

生殖器である精巣を切除してしまうので、当然繁殖が出来なくなります。

もし将来的に我が子の血を引いた子猫が欲しいと思ったときに産ませる事が出来ないので、去勢する前に、去勢をするかしないかと、する場合はいつ頃するかを慎重に考えましょう。

 

肥満になりやすくなる

メス猫が避妊した場合と同様に、オス猫が去勢手術をするとホルモンのバランスが変わるため、肥満になりやすくなります。

食欲が加速し手術前よりも食べてしまうにも関わらず、代謝は悪くなるので今まで通りの食事をあげているとすぐに太ってしまうでしょう。

さらに、発情期の時期の運動量も去勢後は減少してしまいます。

 

ある調査によると避妊したメス猫よりも去勢したオス猫の方が、肥満になるリスクが2倍も高くなると言われているので、食事量の調整やカロリー調整は必須でしょう。

肥満になってしまうとさまざまな病気にかかるリスクが高くなりますから、体重をこまめに測ってご飯のあげすぎには注意してあげて下さい。

 

猫の避妊・去勢手術の内容

【メス猫の避妊手術】

腹部を切開し、卵巣と子宮を切除します。

まずは全身麻酔をかけて、安全に、正確に手術を行うために腹部分の被毛を綺麗に剃ります。

これは腹部を切開するときに間違っておへそなどを切ってしまわないためです。

 

切り込みの位置はおへその3㎝ほど下の部分で、1~3㎝ほど切開します。

卵巣と子宮を切除したら、切開した部分を縫合して手術は完了です。

手術が上手な獣医さんであれば、約10分ほどであっという間に終わってしまいます。

 

なお、腹部に使う糸は非水溶性の糸になります。

 

【オス猫の去勢手術】

去勢手術では精巣の切除を行います。

全身麻酔をかける必要があるのはメス猫と同じです。

精巣が入っている睾丸の毛剃り露出させて、メスで必要最小限の切れ込みを入れ、精巣を切り離します。

上手な獣医さんであれば、ここまで1分くらいで終わってしまいます。

 

なお、片方が終わると今度はもう片方を同じように切り取っていきます。

この時にもし、潜在精巣が見つかった場合は、鼠径部や腹腔内を切り開く全く別の手術が必要になりますが、猫の場合はあまり見られません。

最後に傷口を縫合して、手術は終了です。

傷口がかなり小さく済んだ場合は、縫合をせずに医療用接着剤やステイプラー(ホチキスのようなもの)で傷口を塞ぐ事もあります。

 

多くの場合、去勢手術は日帰りで変えることが出来ます。

 

術後は傷口を舐めてしまうと口の中のバイキンが付いてしまう可能性があるので、しばらくエリザベスカラーを装着し、舐めないようにしておくと良いでしょう。

 

 

最後に

猫の避妊・去勢手術はなぜ必要なのかについて、メリットやデメリットを詳しく解説しました。

 

まとめると、

  • 将来的に子猫を産む予定がないメス猫は避妊手術をした方が良い
  • 将来的に子供を産ませる予定がないオス猫は去勢手術をした方が良い
  • 避妊・去勢手術をする事で望まない妊娠を避けることが出来る
  • 避妊・去勢手術をする事で病気のリスクが低くなったり、病気を予防する事が出来る
  • 避妊・去勢手術は成長を終え、初めての発情期を迎える前が望ましい
  • 避妊・去勢手術は全身手術となるので獣医さんとよく話あって日程を決める

ということでした。

 

費用はかかりますが、猫にとって避妊・去勢手術を行う事のデメリットはほとんどありません。

健康的に長生きをしてもらう為にも、猫を飼い始めた方は避妊・去勢手術をするのかしないのかについて慎重にしっかりと考えてあげてくださいね。

 

 

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