ブリティッシュショートヘアの歴史
ブリティッシュショートヘアは、イギリス原産の猫で、イギリスで最も古い猫として知られています。
ローマ帝国のイギリス襲撃の際に連れていた猫と推測されていて、エジプト由来の短毛猫と考えられているようです。
イギリスに入ってから1世紀近くのあいだ、外見はほとんど変わらないまま繁殖していました。
19世紀の中ごろになると、ネズミ捕りにおいて優秀な個体を選択して繁殖させていたことから、改良が始まります。
この当時から、ペルシャなど長毛の猫との異種交配も行われました。
第一次大戦前は長毛タイプの人気が高く、その後、短毛タイプはブリティッシュショートヘアの品種改良に、長毛タイプはペルシャの改良にと分けて交配されていきました。
しかし、第一次世界大戦後はペルシャとの交配種は反対され、ブリティッシュショートヘアのみ認められることになったので、個体数が激減してしまいます。
さらに第二次世界大戦の頃には、食糧不足から各家庭でも猫の飼育が難しくなり、品種存続の危機も訪れました。
戦後になると人気が上昇し、1979年にはキャットショー参加資格を得ます。
しかし、ショートヘアと名付けられながら時々ロングヘアが生まれていた為、品種の確立には時間と手間がかかったようです。
また、長毛タイプの方はブリティッシュロングヘアーやブリタニカと呼ばれ、一定の人気を獲得していました。
このタイプは、2009年から別の品種としてキャットショーに参加しています。
ブリティッシュショートヘアは、1620年代のアメリカへの移民の際に、メイフラワー号に乗っていたとされています。
アメリカンショートヘア種の基礎となったと考えらており、容姿もよく似ています。
しかしフレンドリーな性格であるアメリカンショートヘアに対して、ブリティッシュショートヘアはやや気難しい性格をしています。
この気質と、威厳のある立ち居振る舞いから、イギリスでは「猫界のウィンストン・チャーチル」と呼ばれることもあるようです。
ブリティッシュショートヘアの特徴
ブリティッシュショートヘアは、低めの鼻に丸くて幅広な頭、丸みのある額、丸くて大きい離れ目、少し短くて骨太な足が特徴です。
被毛は名前の通り短毛ですが、密度が高く厚みがあり、手触りはやや固めで「ベルベット」に似ていると言われています。
目の色は、毛色に準じて「ブルー」「グリーン」「ヘーゼル」「ゴールド」「カッパー」「オッドアイ」など色々なブリティッシュショートヘアがいます。
ブリティッシュショートヘアの性格
ブリティッシュショートヘアは、物静かでとても穏やかな性格をしていますが、猫らしいプライドの高さと威厳も持ちわせており、賢い猫です。
基本的には抱っこされたり撫でられたりすることが好きではなく、人の膝に乗ることよりもソファに寝そべっていることを好みます。
ですので、留守番などの際も1頭で落ち着いてできます。
一見クールで気高い印象を持たれがちですが、心のなかでは飼い主に対して甘えたい、寂しいという感情を持っているようです。
その我慢強い性格から普段は感情を見せないものの、ハンターとしてしつけられてきたという環境の影響もあり、褒められることが大好きなので、沢山褒めてあげましょう。
ブリティッシュショートヘアの寿命
ブリティッシュショートヘアの平均寿命は、14〜17年と言われています。
猫全体の平均寿命が15歳前後という事を考えると、やや長生きな猫種と言えるでしょう。
頑丈そうな外見をしていますが、病弱な一面もあるので、「皮膚炎」「胃腸炎」「糖尿病」「尿石症」などの病気には十分注意してあげましょう。
ブリティッシュショートヘアの体重
ブリティッシュショートヘアの平均体重は、オスで5〜8キロ、メスで4〜5キロが一般的です。
完全な成猫に達するまで3年はかかると想定されており、しっかりした体格をしています。
体はセミコビータイプで厚みがあり、中~大型猫に分類されます。
ブリティッシュショートヘアの値段
ブリティッシュショートヘアの値段は、平均で約20万円ほどです。
最高価格は39万円で最低価格は5万円ほどと言われています。
毛の色や目の色、スタンダードに近いかどうかなどで、その値段は変わってきます。
ブリティッシュショートヘアの飼い方
ブリティッシュショートヘアは、ネズミを捕獲するために改良が重ねられた猫種です。
なので、ハンター遺伝子を色濃く受け継いでおり、そのようなおもちゃで遊ぶのが大好きです。
体質的に太りやすいのですが、中年齢以降ではほとんど動かなくなってしまうので、運動させるためには工夫が必要です。
被毛は短毛なので、手入れは簡単ですが気難しくわがままな面があるので、シャンプーやグルーミングを嫌がる場合があります。
ですので子猫の頃からしっかり慣らせて起き、成猫になってから拒否されて手間取ることがないようにしつけてあげましょう。
ブリティッシュショートヘアがかかりやすい病気
ブリティッシュショートヘアは、頑丈そうに見えますが意外と病弱な猫です。
なので飼い主さんを悩ませる事も多いでしょう。
ここからはブリティッシュショートヘアがかかりやすい病気について解説していきます。
症状が現れたり、いつもと違う様子が見られた場合は、すぐに動物病院にかかりましょう。
- 皮膚炎
- 胃腸炎
- 糖尿病
- 尿結石
- 巨大結腸症
皮膚炎
ブリティッシュショートヘアがかかりやすい病気の一つに「皮膚炎」が挙げられます。
猫の皮膚炎は、フケや湿疹、脱毛などの症状が見られる病気です。
症状が悪化すると、激しい痛みやかゆみ、ただれが現れます。
皮膚炎に発症する原因としては、ノミやダニ、ストレス、栄養バランスの偏りなど、様々な原因が考えられます。
治療法としては、アレルギー性やアトピー性の皮膚炎であれば、抗生物質の投与や塗り薬が中心となります。
対策法としては、アレルギー性やアトピー性の皮膚炎の場合は事前にアレルギー検査で原因となるアレルゲンを特定できるので、それを排除するなどの対策が行えます。
愛猫が日常的に移動する場所をしっかり掃除してあげる事も大切です。
胃腸炎
ブリティッシュショートヘアがかかりやすい病気の2つ目は「胃腸炎」です。
猫の胃腸炎は、胃から腸にかけての粘膜に炎症が生じる病気で、下痢や嘔吐などの症状が現れます。
原因としては誤飲や誤食、細菌感染などが考えられ、適切な治療を行う事で完治できます。
しかし、急性の場合は重症化すると脱水症状が現れ、命の危険にさらされる可能性もあるので注意が必要です。
治療法としては基本的に絶食が行われ、下痢や嘔吐を止める整腸剤や、脱水症状を抑える輸液が投与されます。
ウイルス性が疑われる場合は、同時に抗生物質の投与を組み合わせた治療になります。
胃腸炎にかからないためにも、新鮮なキャットフードや水を与えたり、食器を清潔に保ってあげる事が大切です。
また、ワクチンを打つことで、重症化しやすいウイルス性胃腸炎の対策が出来ます。
糖尿病
ブリティッシュショートヘアがかかりやすい病気の3つ目は「糖尿病」です。
猫の糖尿病は、インシュリンの量が低下する事によって血糖値が高くなってしまう病気です。
原因としては、肥満や運動不足、ストレスなどが挙げられます。
症状としては、嘔吐、体重減少、多飲多尿などの症状が見られるので、これらが現れた際は動物病院に連れていきましょう。
治療法は人間の糖尿病と同じで、インシュリンの投与が生涯に渡って必須となります。
合わせて、適切な量や回数の食事療法や、適度な運動も行います。
対策法としては、肥満を防ぐためにも日頃から食事管理や運動管理を行う事が挙げられます。
また、病院で定期的に検診を受ける事で、異常があればすぐに見つける事ができますね。
尿結石
ブリティッシュショートヘアがかかりやすい病気の4つ目は「尿結石」です。
猫の尿結石は、腎臓から尿管、膀胱、尿道の中に結晶や結石ができてしまう病気です。
原因としては食事バランスの偏りや、細い尿道が挙げられます。
症状としては、尿の量が少なかったり、落ち着きがない、血尿などが現れるでしょう。
大きな結石が尿管を完全にふさいでしまうと、尿が全く出せない状態が続き、尿毒症になる可能性があります。
尿毒症は死に至る事もある病気なので、十分に注意が必要です。
治療法としては、軽度の尿結石の場合は結石を溶解する薬の服用や、食事療法が行われます。
もし結石が巨大化して尿管を塞いでいる場合は、緊急を要するのでカテーテルなどを用いて結石を取り除きます。
対処法としては、ミネラルバランスの取れた食事を与えたり、水分をしっかりとらせる、トイレを常に清潔に保ってあげる事などが挙げられます。
特にかかりやすい病気なので、常に気を付けてあげなければなりません。
巨大結腸症
ブリティッシュショートヘアがかかりやすい病気の5つ目は「巨大結腸症」です。
猫の巨大結腸症は、結腸内に便が過度にたまって便秘がさらに悪化してしまう病気です。
原因としては、腸の蠕動運動の低下などが挙げられ、慢性的な便秘を引き起こし、停滞した便が結腸に溜まることで発症します。
症状としては、踏ん張っているのに便が出ていない、少量の水っぽい便が出ているなどです。
治療法は、浣腸など排便を促す処置や、結腸にたまった便を直接摘出するなどが行われます。
骨盤狭窄が重度であったり、内科療法に反応しない場合は外科手術が必要となる場合もあります。
対策法としては、日常的に運動してもらう為にキャットタワーを設置したり、トイレを清潔に保ってあげるなどして排便しやすいようにしてあげる事が大切です。
ブリティッシュショートヘアの病気は、飼い主さんが気を付けていれば早期発見でき、治療可能な場合も多いです。
発症してしまうと生涯治療をしなければならない場合もあるので、十分に注意してあげましょう。