ベンガルの特徴・性格・寿命・体重・値段・飼い方

ベンガルの歴史

ベンガルは、1960年代にアメリカ人の繁殖家が、1頭のアジアン・レオパード・キャット(ベンガルヤマネコ)というヤマネコを手に入れ、自宅にいた黒毛のオス猫と交配を行った事が始まりです。

この交配は成功し、生まれた子猫は最初のうちは母ヤマネコ同様の柄があったものの、成猫になると父猫の黒毛に覆われていました。

この2匹から生まれた1匹のメス猫がさらに交配を行ったところ、数匹の仔猫が誕生します。

その中には、豹のようなスポットを持つ仔猫もいましたが、仔猫はその後、育種に関わることはありませんでした。

1970年後半から80年初頭では、アメリカのカリフォルニア大学で、猫の白血病研究が行われていました。

この研究では、ヤマネコなど一部の野生の猫はネコ白血病の抗体を持っているのではないかという仮説で、ヤマネコとイエネコの交配を行いました。

この時生まれた仔猫は、80年代になって育種を再開した前述の繁殖家に渡されました。

この時の猫を基礎に改めて、ベンガルの繁殖が始まりました。

1984年に、ベンガルはTICA(The International Cat Association)に新種として登録申請されました。

1985年に初めてキャットショーに出陳されたベンガルは、その美しさで多くの愛猫家たちから絶大な人気を得る事となります。

また、ベンガルに魅了されたブリーダーが次々と育種を始め、アビシニアン、アメリカンショートヘア、エジプシャンマウ、シャムなどとの交配が行われました。

この時の交雑により、ベンガルは十分な遺伝子プールを持つことができ、純血の猫種として確立する事になりました。

ベンガルの特徴

ベンガルは、やや幅の広いくさび型の頭に幅の広い鼻すじ、ややつり目のアーモンド形の目が特徴です。

目にはマスカラと呼ばれるアイラインがふちどっています。

ベンガルはイエネコより背骨が一節多いので胴体が長く、がっちりとした筋肉質の猫種です。

中型からやや大きめのロング&サブスタンシャルタイプで、全体的に野性的な外見をしており、特長的な豹柄をしています。

ベンガルの性格

ベンガルは、見かけによらず温和で甘えん坊な性格をしています。

運動量が多く遊び好きでハンティングも大好きです。猫としては珍しく水遊びも好みます。

視覚・聴覚・嗅覚が発達しており敏感に反応しますが、神経質ではありません。

野性味あふれる外見から「気性が荒い」と思われがちですが、イエネコと交配しているため、のんびりした性格をしている子が多いです。

子どもや赤ちゃんとも一緒に仲良く過ごすことが出来るので、お子さんがいる家庭でも安心して飼う事が出来ます。

子猫のうちから兄弟猫や親猫、他の猫との多頭飼いしてあげると、特に元気な甘えん坊に育ちます。

ベンガルの寿命

ベンガルの平均的な寿命は、14歳前後と言われていますが、中には16歳を超えて長生きするベンガル猫もいます。

かかりやすい特有の病気などはないのですが、「ストレス性の脱毛」や「膀胱炎」に注意してあげなければなりません。

野生のなごりで敏感な性質が少し残っているので、落ち着かない環境ではストレスを抱えてしまい病気にかかりやすいです。

なので、落ち着く環境を用意してあげる事が大切です。

ベンガルの体重

ベンガルの平均体重は、オスで5~8キロ、メスで3~5キロ程です。

ベンガル猫の大きさは体長55~80cmほどあり、ベンガルヤマネコよりもやや大型な猫種です。

がっしりした骨格と筋肉質な体なので、体重もそれなりにあります。

ベンガルの値段

ベンガルの値段はだいたい17万円前後が相場で、最高価格は50万円、最低価格は5万円です。

この値段は、猫種スタンダードに近いかどうか、血統、顔、毛色、体の大きさ、月齢などの要因で変わってきます。

ベンガルの飼い方

子猫~若猫時代はどんな猫でも活発なものですが、ベンガルは群を抜いて活発に活動します。

さらに、成猫になってからもほかの猫種よりは運動量が必要となります。

快速で走り、怖がらずに高所にかけのぼり、時には下にいる人の肩をめがけて飛び降りようとするので、安全に遊べる環境を用意してあげましょう。

住居や家具類、キャットタワー等の配置を考える必要があります。

餌は一般的に販売されているキャットフードで構いませんが、少し飽きっぽい性格の子が多いので、たまにウェットタイプのフードをあげると喜びます。

ベンガルは非常に賢く、観察力や洞察力があるのでしつけはしやすいです。

しかし、子猫から若猫時代は度が過ぎた甘えん坊ぶりを見せることがあるため、留守番の気配を察すると、外出の邪魔したりします。

成猫になればほんとどの子は落ち着きますが、あまりひどい場合は相性を考慮しながら、2頭飼育するのも良いでしょう。

また、窓や扉に鍵をかけ忘れると、開けられてしまうことがあるので注意が必要です。

手入れについては、シングルコートなので楽でしょう。

 

 

ベンガルのかかりやすい病気

ベンガルは遺伝性の病気が少なく、比較的元気で強い猫と言われています。

しかし、そんなベンガルでもかかりやすい病気があるのでご紹介します。

 

ベンガルのかかりやすい病気について知っていれば、日頃から生活に気を付けてあげる事で病気を予防できます。

ベンガルのかかりやすい病気には以下があります。

 

  1. 猫伝染性腹膜炎(FIP)
  2. ピルビン酸キナーゼ欠損症
  3. 子宮蓄膿症
  4. ベンガル網膜症
  5. 多発ニューロパチー
  6. 白内障
  7. 胸壁の奇形

 

猫伝染性腹膜炎(FIP)

ベンガルのかかりやすい病気の1つ目は「猫伝染性腹膜炎(FIP)」です。

猫伝染性腹膜炎は、猫腸コロナウイルスが突然変異を起こして強い病原性を獲得し、腹膜炎を特徴とする激しい症状が出る致死性の高い病気です。

 

症状としては、ウエット型とドライ型の2つに分かれており、ウエット型の場合は元気がない、微熱、腹水などが見られます。

ドライ型の場合は、抗生物質に反応しない断続的な微熱や、食欲不振、元気がない、黄疸などが見られます。

 

有効的な治療法がないので、発症するとほぼ100%の確率で死んでしまいます。

その為、残りの少ない寿命をいかに幸せに過ごせるかが最終的な目標になるでしょう。

ピルビン酸キナーゼ欠損症

ベンガルのかかりやすい病気の2つ目は「ピルビン酸キナーゼ欠損症」です。

ピルビン酸キナーゼ欠損症は、赤血球上にあるピルビン酸キナーゼと呼ばれる酵素が欠損し、十分なエネルギーを産生することができなくなってしまう病気です。

赤血球の寿命が縮んで貧血に陥ってしまい、この貧血を根本的に解決するためには骨髄移植が必要です。

 

診断は血液検査や遺伝子検査などの、疾患遺伝子を確認して下されます。

症状としては、すぐに座ったり、運動を嫌がる、口腔粘膜の蒼白化、脈が早い、心臓の収縮期雑音、まれに黄疸などが見られます。

原因は遺伝で、変異遺伝子を偶然持って生まれたアビシニアンを元にたくさんの繁殖を行ってしまった結果このような病気が生まれてしまいました。

 

治療法としては、軽症の場合は無理に運動させないなどの対処がとられます。

重症の場合は、激しい運動を避ける事と、骨髄移植という手段がありますが、ドナーを見つけられる可能性や手術のリスクを考えると現実的ではないでしょう。

 

子宮蓄膿症

ベンガルのかかりやすい病気の3つ目は「子宮蓄膿症」です。

子宮蓄膿症は、メス猫の子宮内に病原体が入り込み、炎症反応が起こって膿が溜まってしまう病気です

診断には血液検査や尿検査、エックス線検査や超音波検査等を行います。

 

症状としては、多飲、多尿、お腹が膨れる、陰部から膿が出る、発熱、嘔吐などが現れます。

原因としては、子宮内に細菌が進入し、それに対する防御反応として炎症が起こることが原因となる細菌感染や、子宮内膜炎から子宮蓄膿症へ進行する際の子宮内膜過形成が挙げられます。

 

治療法は、ホルモン剤の投与や手術治療、避妊手術などを行います。

 

ベンガル網膜症

ベンガルのかかりやすい病気の4つ目は「ベンガル網膜症」です。

ベンガル網膜症は、ベンガルだけに現れる特異的にみられる疾患です。

2ヶ月齢ころから急速に網膜上の光受容器が変性して失われていく病気で、ごく少数の個体で自然発生した遺伝病と言われています。

 

多発ニューロパチー

ベンガルのかかりやすい病気の5つ目は「多発ニューロパチー」です。

多発ニューロパチーは、複数の末梢神経に同時に病変が発生し、運動能力などが低下してしまう病気です。

原因は不明とされており、自然に治癒する事もあります。

 

1歳未満の若いベンガルにおいて、原因不明の手足の筋力低下が認められるような場合は、多発ニューロパチーの可能性を考えたほうが良いでしょう。

白内障

ベンガルのかかりやすい病気の6つ目は「白内障」です。

白内障は、眼球内にある水晶体と呼ばれる組織が白く濁り、視力が低下~喪失してしまう病気です。

診断は目視検査や血液の生化学検査、視力の電気的な検査などが行われます。

 

原因は様々で、遺伝や基礎疾患、有害物質や腫瘍治療に用いる放射線、感電事故などが挙げられます。

治療法としては、症状の軽減を目的とした対処療法が基本です。

もし、水晶体が融解して「過熱白内障」に進行し、ブドウ膜炎や網膜剥離を引き起こす危険性がある場合は、外科手術が行われます。

胸壁の奇形

ベンガルのかかりやすい病気の7つ目は「胸壁の奇形」です。

胸壁の奇形は、背骨、肋骨、胸骨などが正常に形成されず、胸腔が変形してしまう先天的な病気です。

診断はエックス線やCTスキャン、MRIなどを通して行われます。

 

治療は保存療法がメインとなっており、奇形が重度で呼吸が苦しそうな場合には外科手術や矯正具が行われる事があります。

優性遺伝とも劣性遺伝とも異なる発現率になっているため、獣医師がベンガルの子猫を診察する際は、必ず触診によって胸壁の奇形を確認する必要があります。