アメリカンショートヘアの歴史
アメリカンショートヘアは18世紀から19世紀にかけて、ヨーロッパからアメリカ大陸に渡った移住者の中でネコを連れていった人たちが忍耐強く選択交配を行なった結果、ほかのネコとはっきり区別できる姿の美しい品種が出来上がったのが起源と言われています。
日本でも大人気のアメリカンショートヘアは、イギリスのブリティッシュショートヘアが直系の祖先猫となっており、アメリカンショートヘアの土台となったと考えられます。
かつてはまだ、ペットとしての純血種は求められていなかったので、行われていた異種交配によってアメリカンショートヘアは、遺伝疾患の少ない丈夫な体になりました。
かつてはハンターとして活躍していた猫達ですが、アメリカの農業が大規模化したことで、穀物管理の手法が発展し、役目を終えました。
しかし、特徴的な銀灰色の毛並みの美しさに魅せられた愛好家が、品種確立を目指して育種を行い、1895年のキャットショーでデビューしました。
当時のカタログには1000ドルの値段がつき、さらに翌年の1896年のショーでは2500ドルの値が付くなど、その人気はどんどん上がっていきました。
アメリカの愛猫団体(CFA)は、1906年創設時に登録した5猫種のひとつとして、アメリカンショートヘアを採用しました。
しかし、この時の名前は単に「ショートヘア」とされ、他の短毛猫とひとくくりになっていました。
その後、愛好家によって性能や容姿、性格において選択交配による改良行われると、1966年に「アメリカンショートヘア」と改名される事が決定します。
日本に入ってきたのは1980年以降と言われており、日本猫とは違う模様や気質、丈夫な体質を持っていたので、熱心な愛猫家が増えました。
1996年には、単猫種愛好家クラブとして「アメリカンショートヘアクラブジャパン」がCFAに認可されています。
アメリカンショートヘアの特徴
アメリカンショートヘアはがっしりした体形で胸と肩がよく発達しています。
頭は幅広く頬は丸みを帯びています。耳はピンと立っています。足はが丈夫で歩きづらい地形でも跳びはねて渡ることが出来ます。
あごが力強くあらゆる獲物をしっかりと掴むことが可能です。
毛と毛色毛は短いかものの雨や寒さに耐えわれるよう十分に密生しています。
冬の間毛は厚くなるものの羊毛程にはなりません。
白,黒,青,赤,クリーム色,銀色,チンチラ,黒煙色,べっこう色など様々な毛を持ったアメリカンショートヘアがいます。
目の色も毛色によって変化が見られます。
アメリカンショートヘアの性格
アメリカンショートヘアは賢く愛情の深い猫です。
家族に愛着を示し,子どもと仲がいいため初心者でも飼いやすいと言われています。
やや慎重な性格なので、知らない人が家に来ると警戒心を露わにする事があるでしょう。
自立心の強い先祖猫のブリティッシュショートヘアの影響もあり、頑丈な個体もいますが、この場合家族からしつこく触られるのを嫌がるがあります。
好奇心旺盛で遊ぶのが大好きなので、犬も含む家族と仲良くする事ができ、小さい子供の遊び相手にもなってくれます。
アメリカンショートヘアの飼い方
運動が好きなので広い場所で飼うのが好ましいですが狭い家での生活にもよく適応し屋根の上やテラス、 ベランダなど自由に歩きまわれる場所があれば,さらに容易に適応します。
純血種として品種が確立された後、家猫として改良されてきましたが、ハンター精神は健在のままです。
なので、あちらこちらを駆け回ることは、アメリカンショートヘアの健康には欠かせないでしょう。
特に若猫時代は運動量がすごいので、おもちゃでたくさん遊んであげたり、キャットタワーを用意する必要があります。
やや太りやすい体質なので、運動管理だけでなく食事管理もしっかり行わなければなりません。
先祖猫のブリティッシュヘアの影響で、触られるのを嫌がる個体が多い傾向にありますが、気をひくためにおやつなどを与えないように注意しましょう。
被毛は厚いですが、短毛なので手入れは簡単で、換毛期にしっかりとブラッシングやコーミングをしてあげれば問題ありません。
アメリカンショートヘアがかかりやすい病気
アメリカンショートヘアは歴史の部分でも解説したように、多くの雑種猫との交配が行われていたため、遺伝疾患は比較的少なく丈夫と言われています。
平均寿命は約15年で、一般的な猫よりもやや長い印象です。
かかりやすい病気としては、ワクチン誘発性繊維肉腫と肥大型心筋症があるので、くれぐれも注意してあげましょう。
ワクチン誘発性繊維肉腫
ワクチン誘発性繊維肉腫は、ワクチンを打ったあとに起こる反応で、繊維肉腫が発生し発生した部位によって内臓など体の機能障害が起こる病気です。
この病気はワクチンを打ったあとの免疫反応により起こると考えられていますが、詳しい原因はまだ分かっていません。
進行が早い病気なので、もし腫瘍が見つかった場合には、ただちに手術が必要になります。
毎年同じ場所にワクチンを打っていると、その部位が発症しやすい傾向にあると言われているので、ワクチンを打つ際は、接種部位の記録を取っておくと良いでしょう。
また、ワクチンとの関連性が強いものの、接種後数日〜数年後に発症する可能性があり、発症までの期間が長いです。
なので、経過観察や接種記録を残しておく事が大切です。
肥大型心筋症
肥大型心筋症は、アメリカンショートヘアに限らず、中年齢以上の猫に多く発生する病気です。
アメリカンショートヘアでは重症化することは少ないとされていますが、発症の可能性は十分にあります。
この病気は、心臓の周りの筋肉が肥大、肥厚し、心臓の動きが悪くなることによって、不整脈による突然死や血栓の発生などが起こる病気です。
心臓の機能が低下している場合、あまり動かなくなり、寝てばかりになる様子が見られます。
なので、年齢のせいだと思い込まず、何か元気がなさそうに見えたら、動物病院に連れて行ってあげてください。
いずれの病気も、早期発見が大切です。
可能であればなるべく定期的に動物病院へ連れいき、定期検診を受けて猫の健康状態を確認してあげてください。