アビシニアンの歴史
アビシニアンは1868年イギリス・エチオピア(旧名アビシニア)戦争の軍隊の遠征に伴い数頭のアビシニアンがイギリスに輸入され繁殖したことから広まったと言われています。
アビシニアンは,古代エジプトのネコに非常によく似ています。
19世紀末エジプトのベニハッサンでネコの埋葬遺跡から約20万体のネコのミイラが発見されアビシニアンと比較検討された際に両者に密接な関係があることが分かっています。
5,000年前の古代エジプトのネコの直系かどうか現在論争が行なわれていますがいずれにしても現代のアビシニアンの姿はイギリスで始まった選択交配の結果生まれたものです。
アビシニアンの特徴
アビシニアンのほっそりした四肢と優雅な動きはシャムネコの軽快さと優雅さに近いものがあります。
頭は長いく幅が狭く顔は三角形、耳は幅広く先端が丸くなっています。
目の色は緑、薄茶色、黄色です。
鼻は暗色でそのふちは黒く尾は長く先が細くなっているのが特徴です。
アビシニアンの毛はウサギの毛のように密生し色は赤茶か銅色ですが,1本1本の毛には暗い茶色か黒の帯があり全体にさまざまな色合いの独特の明暗ができます。
毛に関するほかの特徴は顎先と唇、目の周りにあるクリーム色の縞模様です。
なお古代エジプトのネコはも現代のアビシニアンと同じような外見と骨格を持っていたと言われています。
アビシニアンの性格
アビシニアンは神経質な所はなく非常に活発な性格をしています。
家に来たばかりの時はよそよそしく振舞うこともありますが大切に育てればすぐに愛情あふれる性質と鋭い知能を発揮してくれます。
しかし,アビシニアンは,祖先から受けついだ広い場所を愛する性質のため行動を制限されるマンションやアパートでの生活にはやや順応しづらいと言われています。
庭のあるような広い家で飼ってあげるのがベストと言えます。
アビシニアンの寿命
アビシニアンの平均寿命は10~13歳と言われており、一般的な猫の平均と比べてあまり変わりはありません。
最近は飼育環境やキャットフードの質が向上しているのでもう少し寿命は延びていると言えます。
7歳より前に大きな病気にかからないアビシニアンは長生きをして15歳前後まで普通に生活できている事が多いです。
飼い主さんの献身的な介護が必要になるほど長生きする猫種は、雑種以外ではアビシニアンが比較的多いと言われています。
アビシニアンの体重
アビシニアンの平均体重は、オスの場合3kg~4.5kg、メスの場合は2.5kg~3.5kgほどです。
猫の平均体重と比べると、やや軽い印象があります。
猫の理想体重は、大まかに成長期が終わった1歳時の体重と言われているので、成長期が終わったころの体重記録がない場合には、獣医に相談してみましょう。
もし太りすぎなどの場合は、食事管理や運動管理を行う必要があります。
アビシニアンの値段
アビシニアンの値段相場は大体5~15万円ほどです。
アビシニアン特有の理由から値段にはかなり開きがあります。
さらに、ペットショップやブリーダーなど、専門サイトの販売価格は変わってきます。
里親募集場合は、猫自体の金額がかからない事がほとんどです。
アビシニアンの飼い方
アビシニアンの雌にとって妊娠期間はむずかしい時期で出産時には獣医師の助けを求めるほうが望ましいです。
アビシニアンは1回に平均して3~4頭の仔ネコを出産します。
毛を最上の状態に保つためにはやわらかい布で毎日なでて手入れをする必要があります。
アビシニアンのかかりやすい病気
アビシニアンは、活発なので元気なイメージがあると思いますが、海外からの血統種なので、気をつけておきたい特徴的な病気がいくつかあります。
ここからは、アビシニアンがかかりやすい病気をご紹介します。
- 肥満
- 消化器官の疾患
- 網膜変性疾患
肥満
アビシニアンがかかりやすい病気の1つ目に「肥満」が挙げられます。
アビシニアンは活発で運動も大好きですが、その分食欲も旺盛です。
いつまでも果てしなく食べ続けてしまう子が多いので、食べる分だけ与えているとあっという間に肥満体系になってしまうでしょう。
ぽっちゃりとした猫は可愛いかもしれませんが、肥満は猫の体に大きな負担となり、糖尿病や関節の疾患、肝機能不全などを引き起こす可能性があります。
アビシニアンが大好きな運動にも影響を及ぼしてしまうので、くれぐれも気を付けてあげましょう。
なので、アビシニアンを買う場合は、運動が思いっきりできる環境を作ってあげたり、可愛さ余ってカロリーの高い食事を与えないようにしましょう。
フードやおやつの与えすぎは要注意です。
消化器官の疾患
アビシニアンがかかりやすい病気の2つ目は「消化器官の疾患」です。
もともとエチオピアの砂漠地帯にいたアビシニアンは、暑さに強く水もあまり飲まずに生きていける猫種です。
しかし、腎臓が弱いので水分不足であったり、栄養価の高い食べ物ばかり摂取していると、どんどん負担がかかってしまいます。
また、アビシニアンがかかりやすい病気の中に遺伝性の「腎アミロイドーシス」という病気があります。
これは、アミロイドというたんぱく質が腎臓に沈着し、腎機能不全を引き起こす病気です。
症状としては、多飲多尿や体重減少、元気がない、むくみや腹水などが現れます。
腎臓は一度悪くなってしまうと回復する事のない臓器で、血液中の毒をうまく体外に排出できなくなってしまいます。
治療法は、人間では腎不全になると人工透析などが行われますが、猫の場合は点滴をして毒を薄めるといった施術が行われます。
腎臓疾患になった猫達は、長い点滴生活と腎不全の症状に苦しむことになり、腎不全が悪化すると他の臓器にも影響してしまう可能性があります。
糖尿病や甲状腺機能亢進症など様々な合併症を引き起こす可能性も高いと言えるので、十分に注意が必要ですね。
腎アミロイドーシスは、はっきりとした原因はまだ分かっていません。
なので、日頃から腎臓に負担をかけないように水を沢山のませる事や、栄養バランスを整える事を意識してあげましょう。
網膜変性疾患
アビシニアンのかかりやすい病気の3つ目に「網膜変性疾患」が挙げられます。
網膜変性疾患は、眼球の奥にある、色や明暗などの視覚情報を識別するための網膜が変形し、視覚に障害を引き起こす病気です。
症状としては、夜になるとものが見えにくくなったり、動いているものを目で追えなくなる、涙が多くなるなどがあります。
また、瞳孔が開いてしまったり、眼振や目の充血を生じることがあり、悪化した場合は失明をする可能性もあります。
原因としては腎アミロイドーシスと同じ遺伝子的な要素が多いですが、後天的な要素が原因の場合もあります。
疾患の種類によって、その症状や進行度は変わってきます。
後天的な原因としては、猫の必須アミノ酸であるタウリンの不足などが挙げられます。
しかし現在はキャットフードの品質が上がったのでこれはほとんどないでしょう。
そのほか、他の目の疾患や薬剤による中毒や全身性の疾患からの合併症によるものが多いと言えます。
なので、他の疾患がある場合はしっかり治療する事や、早期発見が非常に重要となります。
網膜変性疾患は、治療を行っても回復させることのできない病気です。
しかし、疾患の原因によっては適切な治療で進行を抑えることができるので、異変が見られた場合は早めに病院に連れて行ってあげましょう。